社会保険労務士川口正倫のブログ

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社会保険の資格喪失後に遡及して被扶養者を追加できるのか?

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社会保険の資格喪失後に遡及して被扶養者を追加できるのか?

先日、次のような珍しい依頼がありました。
なお、日付は適当のアレンジしています。

2018年4月1日:従業員XがY社に入社 厚生年金保険と健康保険(協会けんぽ)を資格取得

2019年8月15日:従業員XがY社を退職 厚生年金保険と健康保険を資格喪失

2019年10月1日:元従業員XからY社に、妻Aを被扶養者に追加したいとの申出

被扶養者に追加したい理由は、7月頃に妻Aが出産し、家族出産一時金を受給したいためのようです。
確かに、資格喪失前に出産したのであれば、受給できます。
なお、国民健康保険にも出産育児一時金制度があり、妻Aが自分で加入する国民健康保険の資格で受給可能ですが、夫Xの被扶養者として認められれば、その間の国民健康保険の保険料を返還してもらうことが可能ですので、被扶養者とした方がメリットがあります。
また、妻であれば同時に厚生年金保険の被扶養者ともなり、保険料を払わずに国民健康保険第3号被保険者となれるため、被扶養者であった間に支払っている国民年金保険の保険料も返還してもらうこともできます。

要件を満たすのであれば、過去に遡ってでも、妻Aは夫Xの被扶養者とするのが合理的なことがわかりますが、そもそもこのような届出が認められるの疑問でしたので、管轄の年金事務所に問い合わせました。

そうすると、意外なことに話は簡単で、60日以上遡るため、次の書類を添付して申請してくださいとのことでした。
ちなみに、協会けんぽの事務処理上、健康保険証がY社に届くので返送してくださいとのことです(笑)。

① 住民票
② 被扶養者の所得課税証明書
③ 理由書(届出が遅くなったことの理由)

これらの書類を提出してもらい、添付して電子申請すると、少々時間はかかりましたが照会もなくあっさりと被扶養者として認定されました。
なお、理由書は、X本人が記載してところによると、Y社の事務の不手際で届出が漏れたとのことです。

また、住民票と課税証明書があることから、被保険者及び被扶養者のマイナンバーは記載せずに届出ました。