社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

【雇止め】東奥学園寺事件(仙台高判平22.3.19労判1009号61頁)

東奥学園寺事件(仙台高判平22.3.19労判1009号61頁)

1.事件の概要

Xは、平成16年4月1日、高校等を設置運営する学校法人Yに契約期間1年の常勤講師として採用され、平成19年度まで契約を3回更新した。
Xは週14時間~20時間と他の専任教員等と遜色なく授業時間数を担当し、平成17年度、19年度にクラス担任となり、校務分掌も生徒部、教務部に所属したほか、平成16年度に創設された野球部の監督もその当初から務めていた。
一方で、Xは学校法人Yに実家を住所として届け出ていたところ、平成19年頃から婚約者宅で同居するようになったが、住所変更届は提出していなかった。そこで、学校法人Yは平成20年1月23日、Xに始末書を提出させ、同月25日、戒告処分とした。
これを受けてXは同年2月19日、学校法人Yに対し、以後は実家から通勤する旨の顛末書を提出したが、Yは同月27日、Xを同年3月29日をもって雇止めとした。
これに対して、Xが学校法人Yに対して従業員としての地位確認等を求めて提訴し、1審(青森地判平21.6.24労判1009号70頁)は、Xの雇用継続に対する合理的期待は肯定したが、非違行為を理由に雇止めを有効としたため、Xが控訴したのが本件である。

2.判決の要旨

Xは、新規学卒者として学校法人Yに雇用されたものであり、例えば、定年退職後に有期雇用される者であるとか、あらかじめ病気休業や育児休業等により欠けた教員の一時的な代替であることを明示されて有期雇用される中途採用者等と異なり、雇用継続を期待してしかるべき状況にあったものといえるところ、雇用契約に先立つ学校法人Y代表者との面接において一定期間後の雇用の継続は保障されない旨の説明は一切なく、契約期間の始期である平成16年4月1日に契約期間が記載された辞令を交付されたのみで契約書の作成もされず、学校法人Yにおける有期雇用の更新に関する方針について口頭の説明等もなされなかったこと、また、Xを含む常勤教員には、他の専任教員等の担当授業時間数と遜色なく授業を担当し、クラス担任を担当したり、校務分掌において役割を担ったりクラブ・同好会活動の指導に携わるなどし・・・・(中略)、Xの在籍期間においてなされた臨時教員の雇止めは、・・・(中略)本件高校において不祥事を理由とするもの1件、高齢を理由とする者1件、幼稚園において収支状況の悪化を理由とするもの1件であり、特段の理由もなく期間が満了したことのみにより一方的に雇止めがなされた事例があったことはうかがわれない。
以上に加え、Xは、本件雇用契約を3回更新されており、学校法人Yにおける勤務年数が4年に及んでいることからすれば、Xが本件雇用契約について、継続を期待することに合理性があるものと認められる。


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