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定時決定(算定基礎届)についての主な疑義照会

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定時決定(算定基礎届)についての主な照会

1.給与計算の締日及び支払日両方に変更があった際の算定基礎届の支払基礎日数及び報酬について

(設問)
事業所の給与計算が以下のとおり変更になった場合の算定基礎届への記載方法についてご教示ください。
<事例>
変更前末日締、翌月20 日払
変更後15 日締、当月25 日払
6 月25 日支払分から変更となる
3 月1 日~3 月31 日分を4 月20 日払(支払基礎日数31 日) 200,000 円
4 月1 日~4 月30 日分を5 月20 日払(支払基礎日数30 日) 200,000 円
5 月1 日~5 月31 日分を6 月20 日払(支払基礎日数31 日) 200,000 円
6 月1 日~6 月15 日分を6 月25 日払(支払基礎日数15 日) 100,000 円

(回答)
定時決定を行う際、給与の締日が変更されたことにより、4、5、6月のいずれかの月の支払基礎日数が通常の月より増加する場合については、通常受けるべき報酬以外の報酬を受けるものとして、保険者算定を行うことになります。
この場合に、単月に通常の一の給与計算期間が確保されている期間と確保されていない期間が混在していれば、変更された給与の締日における期間であるか否かにかかわらず、確保されていない期間分を控除して報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定します。
したがって、本件については、給与の締日が変更されたことに伴い、6月中に2度の給与の支払が発生し、単月に通常の一の給与計算期間が確保されている期間と確保されていない期間が混在していることから、通常の一の給与計算期間が確保されている5月1日から5月31日までの期間における給与(6 月20日支払分)を6月の算定月額として取り扱うことになるため、4、5、6 月の報酬の総額から、6月1日から6月15日までの期間における給与(6月25日支払分)を控除し、修正平均額により報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定することになります。

2.職場復帰プログラムによる低額給の取扱いについて

(設問)
休職からの復帰プログラムを設けている事業所があり、一定期間30%減の報酬で軽微な業務に従事し、その後通常の業務と報酬に戻ることになっています。期間は診断書などで判断され、個別に決められるとのことです。
算定対象期間に復帰プログラム期間が含まれる場合に、算定対象月として4 月分を含めるべきかと、二等級以上差を生じた場合の随時改定の取扱いについて照会します。
<事例>
・30%減額は全ての固定的賃金が対象で、就業規則に明記されている。
・復帰プログラム期間:4 月の1 ヵ月間のみで17 日以上の出勤があった。
・減給に関する労働基準法に違反していない。
・賃金締切日:月末締、当月払。

(回答)
本件では、復帰プログラムとして通常とは異なる軽微な業務への変更があり、その業務に対して就業規則によりあらかじめ定められた報酬の支給をしています。業務の変更があり、その業務について設定された報酬への変更が行われているならば、これを固定的賃金の変動と考えることが妥当です。この取扱いは、軽微な業務から通常の業務へ復帰する場合も同様です。
また、この変更が1月に限るものであっても固定的賃金の変動という事実に基づき取り扱うことになります。
したがって、4月は固定的賃金の変動後の通常の報酬が支給されているため、定時決定においてこの月を除外する理由はなく、当該4月の報酬も含めて算定を行います。
また、随時改定については、固定的賃金の変動のある月を起算月として2等級以上の差が生じるならば行うことになります。

3.賞与に係る報酬の取扱いについて

(設問)
1. 平成24年4月1日に給与規程を改正し、賞与の支給を年2 回(6月、12 月)から年4 回(3 月、6 月、9 月、12 月)に変更しました。
(1) この事業所において、算定基礎月である平成24年4月~6月の間は休職により全く給与を受けませんが、変更後の給与規程により平成24年6月の賞与を支給される場合、保険者算定を行い、従前(平成23年度定時決定)の標準報酬月額により決定してよいでしょうか。
従前の標準報酬月額は年4 回の賞与にかかる報酬を含みませんが、これにより平成24年度定時決定の標準報酬月額を決定して差し支えないでしょうか。
それとも、従前の標準報酬月額に年4 回の賞与にかかる報酬を合算すべきでしょうか。
(2) (1)の者について、平成24 年10 月に昇給し平成25 年1 月の随時改定に該当する場合、年4 回の賞与にかかる報酬を含めるべきでしょうか。
(3) (1)、(2)について年4 回の賞与にかかる報酬を含めないとすれば、この事業所の他の被保険者は年4 回の賞与を報酬に含めていても、この者については含めず、平成24年9月1日~平成25年8月31日の間支給される賞与について賞与支払届を届け出る取扱いでよいでしょうか。
(4) 平成24年度定時決定において年4回の賞与に係る報酬を含めて決定を行った者が、平成25年4月~6月の間、休職により全く給与を受けない場合の定時決定及び平成25年10月以降の随時改定において使用する年4回の賞与にかかる報酬は、平成24年定時決定において用いた報酬により算定を行ってよいでしょうか。
(5) 賞与の算定対象期間について、休職していたため変更後の給与規程による平成24年6月の賞与の支払がない者の年4 回の賞与にかかる報酬は、変更前の給与規程により平成23年12月に支払われた賞与を12で除して得た額でよいでしょうか。
2. 平成24年5月1日に給与規程を改正し、賞与の支給を年2 回(6月、12月)から年4 回(1月、4月、7月、10月)に変更しました。この場合、年4回の賞与にかかる報酬は、平成24年7月1日前に変更後の給与規程による支給実績がないため、平成24年7月1日前1年間に支給された額により算定することになり、変更前の規程により平成23年12月に支給された賞与を12で除して得た額でよいでしょうか。


<対応案>
1.(1)4 月~6 月の3 ヵ月間のいずれも報酬を受けないときの保険者算定については、従前の報酬月額とするため、年4 回の賞与にかかる報酬を含めることはできない。
(2)昭和53年6月20日保発第47号1.(1)イにより、次期標準報酬月額の定時決定までは、報酬に係る賞与の取扱いは変わらないことから、年4回の賞与にかかる報酬を含めることはできない。
(3)報酬に含めていないことから賞与支払届を届け出る取扱いによる。
(4)(1)と同様の理由により従前の報酬月額とするため、平成24年度定時決定において用いた報酬により算定を行う。
(5)昭和53年6月20日保険発第72 号2.(1)アにより、変更後の給与規程による賞与の支払いがないため、変更前の給与規程により平成23年12月に支払われた賞与を12で除して得た額とする。
2.(4)と同様の理由により、変更前の給与規程により平成23年12月に支払われた賞与を12で除して得た額とする。

(回答)
定時決定の際、健康保険法第41条1項及び厚生年金保険法第21条1項の規定により算定することが困難な場合には、健康保険法第44条1項及び厚生年金保険法第24条1項により従前の報酬月額により保険者算定が行われます。
また、昭和53年6月20日保発第47号「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」により、年4回以上の賞与が支給される場合の定時決定(7、8、9 月の随時改定を含む)においては毎月支給される「通常の報酬」に「賞与に係る報酬」を加えて報酬月額を算定します。
このことから、4月から6月の3 カ月間のいずれも報酬を受けない年4回以上の賞与が支給される場合の定時決定は、賞与に係る報酬が加えられることになりますが、結果としては、従前の報酬月額により決定を行うことになります。
したがって、
1(1)については、従前の報酬月額により決定をします。
1(2)については平成25年1月の随時改定時には賞与に係る報酬を加えて改定を行います。
1(3)については、平成24年の定時決定以降の賞与支払届の提出が不要となります。
1(4)についても従前の報酬月額により決定をしますが、この決定された報酬月額に含まれる賞与に係る報酬は平成24年7月から平成25年6月までに支給された賞与によるものです。
1(5)、2 については年金事務所対応案の通りとなります。
なお、回答にあたっては、厚生労働省年金局事業管理課及び保険局に協議済みです。

4.賞与の回数等、考え方について

(設問)
就業規則により年4 回の賞与を支給しているため、標準報酬月額に年間賞与の1/12 を加算している事業所が、昨年7 月より回数は変わらないが賞与の計算方法を固定型から業績連動型に変えたことにより、年間報酬(固定的賃金(給与・賞与)のみで残業代は除く)が大きく下がった人のみ今回に限って(就業規則には記載なし)激変緩和措置として前年度比10%を超える減額となった人を対象に差額が最大で10%になるように補填を行った際の手当は、これまでの賞与と同じ考えで通算5 回とし、来年の算定基礎届に反映させるのか、それとも、全く性質の違う手当の臨時支給として対象者について賞与支払届の提出を求めるのかご教示願います。


当該手当については就業規則により定められている賞与の支給形態が変更されたことに伴い、激変緩和措置として支払われるものであることから、賞与と同一の性質のものと考えられ、報酬に含まれる。
また、「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」(昭和53 年6 月20 日保発第47 号・庁保発第21 号)中、1(2)より、当該手当は名称は異なっても支給された賞与と同一性質を有しており、当該年に限り支給されたことも明らかであることから、別個の賞与支給とはせず、報酬として算定基礎届に反映させる。(なお、回答については厚生労働省年金局事業管理課確認済であることを申し添える。)

5.6ヵ月分定期代が支払われた際、各月の報酬に円未満の端数が生じる場合の取扱いについて

(設問)
1 月から6 ヵ月分定期代(42,340 円)の支給が開始された場合、定期代を6 で割った金額を1 月以降の各月の報酬に割り振ることになりますが、各月7056.66 円となり、円未満の端数が生じます。1 月を起算とした月額変更を手続きする場合及び算定基礎届において、端数をどのように取り扱えばよいでしょうか。

(回答)
1.まとめて支給された手当等を月数で除し各月の報酬に算入する場合(以下2.3.の場合を除く)
端数そのものは存在しますが、届出自体に円未満の記載を求めるのは現実的でないため、切り捨てと取り扱って差し支えありません。
2.1.のときに端数の出る手当等が複数ある場合
端数そのものは存在していることから、それぞれの手当ごとに端数処理するのでなく、端数を付けたまま各月の報酬に合算し、報酬月額を確定する段階で端数処理をするのが妥当です。
3.定時決定、随時改定において、三月間に受けた報酬の総額自体を使用する必要がある場合(まとめて支給された総額自体を使用する必要がある場合)
そもそもまとめて支給された手当等を各月に分割する必要性は、報酬決定の際に、便宜上各月に算入しているだけであり、運用上1.のように切り捨てで取り扱うことにより、「受けた報酬の総額」が変わることは、適当ではありません。(等級が変動する場合あり)
ある一定期間に受けた報酬の総額を、ある一定期間全体で使用する場合においては、総額が変わらないように調整いただき、またその場合は原則支給月に算入することにします。

・1.の例(1 月に6 ヵ月分の交通費42,340 円が支給された)
総支給額÷月数=各月の報酬
42,340 円÷6 ヵ月=7056.66…円
4 月月額変更時の扱い1 月7,056 円
2 月7,056 円
3 月7,056 円
7 月算定基礎時の扱い4 月7,056 円
5 月7,056 円
6 月7,056 円

・2.の例(1 月に6 ヵ月分の交通費42,340 円が支給された)(賞与年4
回以上合計500,000 円が支給された)
総支給額÷月数=各月の報酬42,340 円÷6 ヵ月=7056.66…円総支
給額÷月数=各月の報酬500,000 円÷12 ヵ月=41,666.66…円
7 月算定基礎時の扱い基本給交通費賞与
4 月200,000+7,056.66…+41,666.66…=248,723.33…⇒248,723 円
5 月200,000+7,056.66…+41,666.66…=248,723.33…⇒248,723 円
6 月200,000+7,056.66…+41,666.66…=248,723.33…⇒248,723 円

・3.の例(4 月に3 ヵ月分の交通費10,000 円支給された)
総支給額÷月数=各月の報酬
10,000 円÷3 ヶ月=3,333.33…円



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