社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



【管理監督者】レストランビュッフェ事件(大阪地判昭61.7.30労判481号51頁)

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1.事件の概要

Xは、レストランを営んでいるY社のA店舗で、店長として勤務していた。Xは、A店舗で勤務するコック、ウエイター等の従業員6~7名程度を統括し、ウエイターの採用にも一部関与していた。また、Y社はXにA店舗における、材料の仕入れ、売上金の管理等を任せ、店長手当として月額2万円ないし3万円を支払っていたが、労基法41条2号にいわゆる管理監督者として扱い、残業代は支払っていなかった。Xが、Y社に対して残業代の支払いを請求したのが本件である。

2.判決の概要

労働基準法41条2号のいわゆる監督若しくは管理の地位にある者とは、労働時間、休憩及び休日に関する同法の規制を超えて活動しなければならない企業経営上の必要性が認められる者を指すから、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあり、出勤・退勤等について自由裁量の権限を有し、厳格な制限を受けない者をいうものと解すべきであり、単に局長、部長、工場長等といった名称にとらわれることなく、その者の労働の実態に則して判断すべきものである。
本件についてみるに、・・・(中略)Xは、A店舗の店長として、A店舗で勤務しているコック、ウエイター等の従業員6、7名程度を統轄し、右ウエイターの採用にも一部関与したことがあり、材料の仕入れ、店の売上金の管理等を任せられ、店長手当として月額金2万円ないし3万円の支給を受けていたことが認められるけれども、他方、Xは、A店舗の営業時間である午前11時から午後10時までは完全に拘束されていて出退勤の自由はなく、むしろ、タイムレコーダーにより出退勤の時間を管理されており、仕事の内容も、店長としての右のような職務にとどまらず、コックはもとよりウエイター、レジ係、掃除等の全般に及んでおり、Xが採用したウエイターの賃金等の労働条件は、最終的にY社が決定したことが認められるところであり、これらXの労働の実態を勘案すれば、Xは、A店舗の経営者であるY社と一体的な立場にあるとはいえず、前記「監督若しくは管理の地位にある者」には該らないというべきである。


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