社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



【管理監督者】日本プレジデントクラブ事件(東京地判昭63.4.27労判517号18頁)

バナー
Kindle版 職場の出産・育児関係手続ガイドブック~令和の常識~
定価:800円で好評発売中!!


にほんブログ村
続き

1.事件の概要

Xは、旅行目的のクラブ運営会社であるY社で、総務局次長として勤務し、経理、人事及び庶務を任されていた。Y社は、Xを管理監督者として扱い、時間外手当等が支払っていなかったところ、Xは自らが労働基準法41条2号の管理監督者に該当しないとして、Y社に対して時間外手当等を請求したのが本件である。

判決の概要

Y社はXに対して経理のみならず人事、庶務全般に及び事務を管掌することを委ねたこと、そのため、Y社は、Xを総務局次長として任用し、基本給として年令給15万800円、職能給7万9600円を、この他に手当として、役職手当3万円、職務手当5万円、家族手当2万円を支給していたこと、そして、Y社の就業規則には、役職手当の受給者に対しては時間外労働手当を支給しない旨の規定があること、・・・(中略)右に認定した事実によると、Y社においてXは労働基準法41条2号の監督若しくは管理の地位にある者に該当していたというべきであるから、同法37条の時間外、休日及び深夜労働の割増賃金に関する規定が同法41条本文によってXに対し適用にならないことは明らかである。

3.解説

本判決では、管理監督者について深夜割増賃金に関する適用がないとされているが、後に最高裁で、管理監督者についても深夜労働の割増賃金の適用があるとの見解が示されている。(ことぶき事件(最二小平21.12.18労判1000号5頁))ただし、管理監督者に該当する労働者の所定賃金が一定額の深夜割増賃金を含む趣旨で定められていることが明らかな場合は、その限度ではこれの支払を受けることを認める必要はないとされている。(この点は、管理監督者であるかというよりは、固定残業代と同様な考え方だと思われる。)



経営側弁護士による精選労働判例集 第8集 [ 石井 妙子 ]

価格:1,836円
(2019/5/29 21:48時点)
感想(0件)