社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



【懲戒処分】国鉄札幌駅事件(最三小判昭和54.10.30民集33巻6号647頁)

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国鉄札幌駅事件(最三小判昭和54.10.30民集33巻6号647頁)

参照法条 : 憲法28条、労働契約法15条、労働組合法7条
裁判年月日 : 1979年10月30日
裁判所名 : 最高三小
裁判形式 : 判決
事件番号 : 昭和49年(オ)1188号 

1.事件の概要

Xの属するA組合は、春闘に際し、賃上げ要求や合理化案への反対を内容とするビラ貼りを札幌地本に指示した。そこでXらは、日常使用している詰め所内の個人用ロッカー約300余に、1~2枚のビラをセロテープで貼付した。Y社では、管理する施設に許可なく文書等を掲示すること禁止しており、Xらのビラ貼付を助役らが禁止したがXらはこれに従わなかった。そこで、Y社は、就業規則の懲罰規定に基づき、Xらを戒告処分に処した。
これに対して、Xは戒告処分の無効を求めて提訴し、一審は、本件ビラ貼りは組合活動として相当性の範囲を逸脱して違法であるとして本件懲戒処分を有効であるとしたが、二審は、本件ビラ貼付行為は、正当な組合活動として許容されるべき行為であるとして、本件懲戒処分は無効であるとしたため、Y社が上告したのが本件である。

2.判決の概要

思うに、企業は、その存立を維持し目的たる事業の円滑な運営を図るため、それを構成する人的要素及びその所有し管理する物的施設の両者を総合し合理的・合目的的に配備組織して企業秩序を定立し、この企業秩序のものにその活動を行うものであって、企業は、その構成員に対してこれに服することを求めるべく、その一環として、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもって定め、又は具体的な指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができるもの、と解するのが相当である。



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