社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



【性差別】日ソ図書事件(東京地平成4.8.27労判611号10頁)

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日ソ図書事件(東京地平成4.8.27労判611号10頁)


参照法条 : 労働基準法4条、民法709条
裁判年月日 : 1992年8月27日
裁判所名 : 東京地
裁判形式 : 判決
事件番号 : 昭和63年 (ワ) 9505 

1.事件の概要

中途採用の女性労働者Xは、Y社入社当社は軽易な作業に従事していたが、採用後15年経った時点以降は、勤続年数、年齢等が同等の男性労働者4名と職務内容・責任・技能等のいずれの点からみても劣らないとして、それら男性労働者と同額の賃金の支払いを求めて提訴した。

2.判決の概要

Xと本件男子社員4名間の初任給格差が不合理な差別取扱いであったとまではいえないとしても、・・・(中略)Xが入社後におけるY社内の事情の変化に応じて男子社員と質及び量において同等の労働に従事するようになったにもかかわらず、初任給格差が是正されることなく、そのまま放置された結果として初任給格差が維持ないし拡大するに至った場合には、その格差が労働基準法4条に違反する違法な賃金差別となる場合のあることは、否定しえない。本件においては、Y社は、遅くとも昭和47年1月頃以降、Xの基本給を本件男子社員4名の平均基本給まっでに是正すべきであったにもかかわらず、これを放置して適切な是正措置を講じなかったのであるから、Xが主張する昭和57年度以降の本件賃金格差は、原告が女子であることのみを理由としたもので・・・(中略)労働基準法4条に違反する違法な賃金差別というほかはなく、しかも、適切な是正措置を講じなかったことについてY社に過失のあることは免れないから、不法行為に当たると解するのが相当である。

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