小田急電鉄と東京メトロ(業務外の非違行為による懲戒処分)
昨日、こちらの「日立、無期転換求めた女性社員に解雇通告(日立型と東芝型の雇止めの法理)」で、日立と東芝による雇止めの判例について紹介しましたが、それと同じような例として「小田急電鉄」と「東京メトロ」の駅員による痴漢行為での懲戒処分というのがあります。
これも少々噴飯ものなのですが、どちらも駅員さんが業務外に電車の中で痴漢をして逮捕されて、懲戒処分を受けて争った案件で、下級審ながら、業務外の非違行為による懲戒処分の事件ではわりと有名な判例です。
小田急電鉄事件(東京高判平成15.12.11労判867号5頁)
東京メトロ事件(東京地判平成27.12.25労判1133号5頁)
小田急電鉄事件は懲戒解雇による退職金全額不支給について、東京メトロ事件は諭旨解雇の効力そのものが争われています。
小田急電鉄事件の方は、他社の路線で痴漢行為が行なわれたそうですが、その従業員がなんと既に2回も逮捕されていたことが発覚して懲戒解雇となったそうです。でも、退職金全額不支給は認められず、3割の支払いは認められました。
東京メトロ事件の方は、なんと自社の路線で痴漢行為が行なわれたそうです。でも、1回目だったことと略式命令の罰金の金額が小額だったことから悪質性が高くなかったと評価されて、懲戒解雇は認められませんでした。
でも、職場環境配慮義務の観点から考えると、こういう従業員にそのまま働いてもらうのは問題じゃないかと思うんですけど…特に女性がいる部署には配置できませんよね。
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