社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

【安全配慮義務】伴鋳造事件(東京地判昭和47.11.30判時701号109頁)

伴鋳造事件(東京地判昭和47.11.30判時701号109頁)

参照法条 : 民法415条
体系項目 : 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 : 1972年11月30日
裁判所名 : 東京地
裁判形式 : 判決
事件番号 : 昭和43年 (ワ) 817

1.事件の概要

Xは、鋳造会社であるY社に雇用され、鋳造作業に従事していたところ、溶鉱炉内壁の点検作業中、上部から銑鉄塊が落下し、頭部に命中して傷害を負った。そして、復職後、後遺症のため就労不能に陥り、結局、退職した。そこで、Xは、主位的には、Y社には雇用契約上負っている、ヘルメット等を備えて着用させる義務違反の債務不履行があり、また、予備的には、そのような措置をとる注意義務に違反した不法行為責任がある、として損害賠償を請求した。これに対し、Y社は、安全衛生等に関する使用者の義務は公法上のものであり、債務不履行責任は負わないし、不法行為が成立するとしても、3年の時効により損害賠償債権は消滅している、などと主張した。

2.判決の概要

雇用契約は、労務提供と報酬支払をその基本的内容とする双務有償契約であるが、通常の場合、労働者は、使用者の指定した労務給付場所に配置され、同じく使用者の提供による設備、機械、器具等を用いて労務給付を行うものであるから、雇用契約に含まれる使用者の義務は、単に報酬支払に尽きるものではなく、右の諸施設から生ずる危険が労働者に及ばないように労働者の安全を保護する義務も含まれているものといわねばならない。ところで、労働保護法たる労働基準法その他同法付属、慣例法令は、使用者に対し労働者の作業過程における安全衛生につき保護すべき事項を規定し、行政監督と命令違反に対する刑事罰とをもってその実効を有しており、その限りにおいて、使用者の右義務は、国に対する公法上のものといえるが、しかし、そのことの故に、右義務が雇用契約上使用者が労働者に対して追うべき私法上の義務たりえないものと解することはできない。


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