社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



増産手当と割増賃金の算定基礎賃金(昭和23.7.31基収2114号)

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【増産手当と割増賃金の算定基礎賃金】(昭和23.7.31基収2114号)


工場、事業場において一定の生産目標を突破した場合一人当りの生産を計量し得る場合は労働者個々にあるいは併せてその集団に対し、一人当りの生産を計量できない場合は集団に対し、能率刺激的手当として増産手当又は生産奨励手当等の名前を以て支給する手当は労働基準法第37条の規定による割増賃金の基礎に算入されるものと思うが、
(1) 所定時間内労働のみにては目標突破に至らず、時間外労働をなして初めて実現されたこと明白なるときは、この手当は割増賃金の基礎に算入する必要なしと解してよいか。
(2) 所定時間内においていくばく、延長時間内においていくばくの生産を挙げ得たかを量定することができない場合この手当を割増賃金の基礎に計算するにはどうすればよいか。(本手当は労働基準法施行規則第19条第1号により計算されるものではないと解する)
(3) 集団に対して支給される場合、これを個々の労働者に割振り割増賃金の基礎額に算入するのは技術的に極めて困難であり、何か方法はないか。


(1) 設問の趣旨不明であるがその手当が専ら時間外労働に対して支払われたものであれば見解の通りであるが、時間外労働をなした結果としての生産量と所定時間内労働による生産量と加えて全生産量が目標に到達したために支払われたものであるならば割増賃金の基礎となる賃金となる。
(2) この場合における計算方法は労働法施行規則第19条第1項第16号による。従って、所定労働時間の内外の生産量を量定する必要はない。
(3) 増産手当又は生産奨励手当が集団に対して支給されしかも割増賃金の基礎となる場合においても割増賃金の計算は各労働者について個別的に行うべきである。
なおおこの場合における増産手当又は生産奨励手当の各労働者に配分される基準を賃金規則その他の定めによって明らかにした上でそれが労働法施行規則第19条各号のいずれに該当するかを決定し割増賃金の計算を行うべきであって一般的な方法はない。


労働基準法施行規則
第十九条 法第三十七条第一項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。

一 時間によつて定められた賃金については、その金額

二 日によつて定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額

三 週によつて定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によつて所定労働時間数が異る場合には、四週間における一週平均所定労働時間数)で除した金額

四 月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額

五 月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

六 出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額

七 労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額

2 休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によつて定められた賃金とみなす。