社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

サガテレビ事件(福岡高判昭和58.6.7労判410号29頁)

サガテレビ事件(福岡高判昭和58.6.7労判410号29頁)

1.事件の概要

Xは印刷会社A社に雇用され、Aとテレビ放送会社Y社間の業務委託契約に基きY社に派遣されて、Y社の放送編成業務等に従事していた。
XはY社との間に事実上の使用従属関係が存在し、黙示の労働契約関係が成立しているとして地位の保全を求めて仮処分の申請をした。第一審はXの請求を認容したため、Y社が控訴した。

2.判決の概要

労働契約といえども、もとより黙示の意思の合致によって成立するものであるから、事業場内下請労働者の如く、外形上親企業の正規の従業員とほとんど差異がない形で労務を提供し、したがって、派遣先企業との間に事実上の使用従属関係が存在し、しかも、派遣元企業がそもそも企業としての独自性を有しないとか、企業としての独立性を欠いていて派遣先企業の労務担当の代行機関と同一視しうるものである等その存在が形式的名目的なものに過ぎず、かつ、派遣先企業が派遣労働者の賃金額その他の労働条件を決定していると認められるべき事情のあるときには、派遣労働者と派遣先企業との間に黙示の労働契約が締結されたものと認めるべき余地がある。・・・(中略)A社は、Y社からまったく独立した企業であって、Y社からもXらからも契約締結の相手方とされ、現にXら従業員の採用、賃金その他の労働条件を決定し、身分上の監督を行っていたものであり、したがって、派遣先企業であるY社の労務担当代行機関と同一視しるうような形式的、名目的な存在にすぎなかったというのはあたらない。Y社がXら派遣労働者の賃金額を実質上決定していたということもできない。

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