社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

新宿労基署長(映画撮影技師)事件(東京高判平成14.7.11労判832号13頁)

新宿労基署長(映画撮影技師)事件(東京高判平成14.7.11労判832号13頁)

1.事件の概要

本件は、映画撮影技師(カメラマン)である亡Xが映画撮影中(昭和61年2月19日)の早朝宿泊していた秋田県湯沢市所在の旅館で倒れ同月23日入院先病院で脳梗塞で死亡した。Xの子が亡Xの死亡が業務に起因するものとして、新宿労働基準監督署長であるYに対し、労災保険法に基づいて遺族補償費の給付を請求したところ、亡Xは労基法9条の「労働者」でないとして不支給処分を受けたため、その取消しを求めた事案である。

2.判決の概要

映画製作は監督の指揮監督の下におこなわれるものであり、撮影技師は監督の指示に従う業務があること、本件映画の製作においても同様であり、高度な技術と芸術性を評価されていた亡Xといえどもその例外ではなかったこと、また、報酬も労務提供期間を基準にして算定して支払われていること、個々の仕事についての諾否の自由が制約されていること、時間的・場所的拘束性が高いこと、労務提供の代替性がないこと、撮影機材はほとんどが青銅プロのものであること、青銅プロが亡Xの本件報酬を労災保険料の算定基礎としていること等を総合して考えれば、亡X、使用者との使用従属関係の下に労務を提供していたものと認めるのが相当である。

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