社会保険労務士川口正倫のブログ

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【雇止め】新潟労災病院事件(新潟地高田支決平成6.8.9労判659号51頁)

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新潟労災病院事件(新潟地高田支決平成6.8.9労判659号51頁)

 

審判:一審(地方裁判所
裁判所名:新潟地方裁判所
事件番号:平成6年(ヨ)第2号
裁判年月日:1994年8月9日
裁判区分:判決

 

 

1.事件の概要

 債権者Xら4名は、債務者である総合病院に職種や更新期間の制限もない看護職の臨時職員ないし嘱託職員(勤務時間は一般の職員より短い)として採用され、契約期間に違いはあるが、更新の時、事前の交渉も期間満了で辞めることになる説明もなく、また、辞令の交付なども更新日とずれることもある形で、それぞれ3回、5回、12回、30数回にわたり契約を更新し、それぞれ1年11か月、3年、6年3か月、18年7か月継続勤務してきたところ、看護婦の確保によりXらが余剰人員になったとして雇止めをされたので、地位保全の仮処分を申請した。

 

2.判決の概要

 債権者らと債務者との雇用関係は期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となったとまではいえないものの、雇用関係を継続することが期待される関係であって、雇用関係の満了により雇止めをするに当たっては、解雇に関する法理が類推され、雇止めが客観的に合理的理由がなく社会通念上妥当なものとして是認することができないときには、その雇止めは信義則上許されないものとなる関係にあると認めるのが相当である。そして、その場合には期間満了後における債務者と債権者らの法律関係は従前の労働契約が更新されたと同様の法律関係になると解するのが相当である。

 

3.解説

下級審ながら、有期契約が期間の定めのない契約と実質的に同視できない場合でも,雇用継続が期待されていた場合には,解雇権濫用法理の類推があり得ることを最高裁が示した日立メディコ事件(最一小判昭和61.12.4労判486号6頁)と同様の見解を示した判例

 

 

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