社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

【普通解雇】加藤電機製作所事件(東京地判昭和41.4.23判時446号58頁)

加藤電機製作所事件(東京地判昭和41.4.23判時446号58頁)

 

参照法条 : 労働基準法20条
体系項目 : 解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力
裁判年月日 : 1966年4月23日
裁判所名 : 東京地
裁判形式 : 判決
事件番号 : 昭和34年 (ワ) 2970

1.事実の概要

 Xは昭和16年2月21日にY社に入社した。Y社はXに対して、昭和33年5月19日付解雇通知書により、同月20日限りで企業整理を理由に解雇する旨の意思表示を行なった。そこで、Xは解雇予告手当を含む未払い賃金の支払いを求めて、本件訴訟を提起した。

 

2.判決の概要

 労働基準法20条によれば、使用者が労働者を解雇しようとする場合において、30日前にその予告をするか、それとも所定の予告手当を支払って即時解雇するか、この2つの方法のいずれを用いるかは、専ら使用者の選択にまかせられている。そこで使用者が解雇の予告であるとも言わず、また予告手当の支払もしないで解雇の意思表示をした場合には、その意思表示をどのように受取るかは労働者の選択にまかされていると解するのが相当であるから、労働者は解雇の予告がないとしてその無効を主張することができ、また解雇の無効を主張しないで予告手当の支払を請求することもできるというべきである。なぜなら、このように労働者が解雇の無効有効を決定することにより、少しも労働者の保護に欠けるところはないと考えるからである。

 

3.解説

 この判例は、労働基準法20条違反の解雇は、使用者が解雇予告をするか、予告手当を支払うかの選択権を放棄したものとして、選択権を労働者に転化させ、労働者は予告のないことを理由に解雇無効を主張するか、あるいは予告手当に加えて付加金の支払いを請求するかを選択できるという理論構成である(「選択権説」という)。判例である「相対的無効説」は批判が多く、学説上は選択権説が通説となっている。

労働基準法20条

第20条  
  1. 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
  2. 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
  3. 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

 

 

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