社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

【普通解雇】敬愛学園事件(国学館高校) 最一小判平成6.9.8労判657号12頁

敬愛学園事件(最一小判平成6.9.8労判657号12頁)

 

参照法条 : 労働基準法89条1項9号
体系項目 : 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損
裁判年月日 : 1994年9月8日
裁判所名 : 最高一小
裁判形式 : 判決
事件番号 : 平成5年 (オ) 734

 

1.事件の概要

 Y法人が経営する高校の社会科教員であったXは、A校長の学校運営をめぐって対立するようになった。昭和62年2月、度重なる遅刻、試験用紙の配布ミス、業務命令拒否などを理由に、Xは解雇された(第一次解雇)。Xは、弁護士会と同会長にY法人とAを非難する文書を送り、週間アキタの記者には同文書の説明を行い、同誌に記事として掲載された。Y法人は、これらの行為が就業規則の所定解雇事由に該当するとして、解雇の意思表示を行なった(本件解雇)。Xが解雇無効の訴えを提起し、地裁(秋田地判平成2.5.18労判657号37頁)と高裁(仙台高秋田支判平成5.2.24労判657号15頁)は解雇権濫用に当たると判断した。そこで、Y法人が上告したのが本件である。

 

2.判決の概要

 Xは、〔文書により〕Y法人の学校教育及び学校運営の根幹にかかわる事項につき、虚偽の事実を織り混ぜ、又は事実を誇張わい曲して、Y法人及び校長を非難攻撃し、全体としてこれを中傷ひぼうしたものといわざるを得ない。さらに、Xの『週刊アキタ』誌の記者に対する・・(中略)・・情報提供行為は、・・(中略)・・問題のある情報が同誌の記事として社会一般に広く流布されることを予見ないし意図してされたものとみるべきである。以上のようなXの行為は、校長の名誉と信用を著しく傷付け、ひいてはY法人の信用を失墜させかねないものというべきであって、Y法人との間の労働契約上の信頼関係を著しく損なうものであることが明らかである。第一次解雇が校長の学校運営に批判的で勤務状況にも問題のあるXを排除しようとして性急にされたうらみがないではないことや、Xが、・・(中略)・・各文書を交付したのが第一次解雇の効力をめぐる紛争中のことであったことを考慮しても、右の評価が左右されるものとはいえない。そして、Xの勤務状況には遅刻が多い等の問題があったことをも考慮すれば、本件解雇が権利の濫用に当るものということはできない。

 

3.解説

 労働者が使用者に対する誹謗中傷を行なったことによる「信頼関係の破壊」を合理的な解雇理由と認めた判例

 

 

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