社会保険労務士川口正倫のブログ

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【試用期間】神戸弘陵学園事件 最三小判平成2.6.5民集44巻4号668頁

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神戸弘陵学園事件 最三小判平成2.6.5民集44巻4号668頁

 

審判:最高裁判所
裁判所名:最高裁判所第三小法廷
事件番号:平成元年(オ)854号
裁判年月日:平成2年6月5日
裁判区分:判決

1.事件の概要

 Xは、学校法人Yが運営する新設高校の社会科担当の教員(常勤講師)として採用された。その歳、Yの理事長から、契約期間は「一応」1年とすること、1年間の勤務態度を見て再雇用するか否かの判定をすることなどの説明を受けた。そして、勤務開始後、「期限が満了したときは、・・(中略)・・期限満了の日に当然退職の効果を生ずること」などが記載された契約書に署名押印した。その後、期間満了直前の3月18日に、雇用契約は3月31日をもって雇用期限の到達により終了する旨の通知を受けた。そこで、地位確認等の訴えを提起したところ、一審は、期間の満了により雇用契約は終了したとし、二審もこれを維持した。そこでXが上告した。

 

2.判決の概要

 使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適正を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。
そして、特段の事情が認められるかどうかであるが、それが認められるとすることにはなお疑問が残るといわざるを得ないから原判決は破棄を免れず、さらに審理を尽くさせるために本件を原審に差し戻す。

 

3.解説

本判決のように有期契約が試用期間と解された場合には、使用者が労働契約を終了させることは雇止めではなく、試用期間中の解雇となるため、解雇権濫用法理によることとなる。

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