社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



(2021年4月23日現在)まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について

(2021年4月23日現在)まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について

2021年(令和3年)4月20日より、横浜市名古屋市などが、同22日に明石市伊丹市などが特例の対象となる区域及び期間となりましたので、まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例についてまとめておきます。

ここに記載する内容は、特例の対象となる区域を対象とするものです。
知事等からの要請がない事業やそれ以外の地域では、こちらに記載されているように2021年(令和3年)5月以降、縮減される予定です。
https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2021/03/25/203932

緊急事態宣言が発令された都府県もあることから、最終的にどうなるかはわかりません。
4月末までに公表されると思いますが、5月以降もワクチンが普及するまでの間は、特例を縮減させずに継続すべきだと個人的には思います。

以下が、まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000768238.pdf


まん延防止等重点措置を実施すべき区域の公示に伴い、まん延防止等重点措置の対象区域(職業安定局長が定める区域)において都道府県知事による営業時間の短縮等の要請等に協力する大企業について、雇用調整助成金の助成率を最大10/10に引き上げる特例が適用になります。

大企業の助成率の引き上げについて

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特例の対象となる区域及び期間

※ 本特例措置は4月末まで実施することとなっていますが、今後、関係省令の改正により令和3年5月1日から令和3年6月30日までの期間においても、引き続き特例措置を実施する予定です。

【令和3年4月5日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
宮城県仙台市
大阪府大阪市
兵庫県:神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市

【令和3年4月12日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
・東京都:23区、八王子市、立川市武蔵野市府中市調布市、町田市
京都府京都市
沖縄県那覇市宜野湾市浦添市、名護市、糸満市沖縄市豊見城市うるま市南城市

【令和3年4月20日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
・埼玉県:さいたま市川口市
・千葉県:市川市船橋市松戸市柏市浦安市
・神奈川県:横浜市川崎市相模原市
・愛知県:名古屋市

【令和3年4月22日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
兵庫県明石市伊丹市宝塚市川西市三田市猪名川町

対象となる休業等

特例の対象となる区域内で事業を行う飲食店等の事業主が、営業時間の短縮、収容率・人数上限の制限、飲食物の提供を控えるなどの知事の要請等の対象となる当該区域内の施設について、要請等に協力し、その雇用する労働者の休業等を行った場合
※ 施設において催物(イベント等)を開催した(又は予定していたが開催できなくなった)事業者に雇用される労働者(開催縮小等がなされる催物に従事する労働者)について休業等を行った場合も含みます。

申請様式

まん延防止等重点措置に係る地域特例の申請様式については、下記リンクに掲載ています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html

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母性健康管理措置等に係る特別相談窓口について

母性健康管理措置等に係る特別相談窓口について

新型コロナウイルス感染症への感染について、不安やストレスを感じたり、通勤や働き方でお悩み、お困りの妊婦の方は、「母性健康管理措置等に係る特別相談窓口」にご相談ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000771290.pdf

働く妊婦のための男女雇用機会均等法

新型コロナウイルス感染症に関しては、感染のおそれによる心理的なストレスが母体の健康に影響することが考えられ、医師等の指導を受けたら、企業に申し出て、次のような措置が受けられます。
新型コロナウイルスに関する措置の対象期間は、2022年(令和4年)1月31日までです。

 作業の制限/在宅勤務/休業/時差通勤/勤務時間の短縮等


・妊娠・出産や上記の措置を求めたこと等を理由とする次のような不利益取扱いは禁止されています。

 解雇/退職の強要/契約更新がされない/正社員からパートへの転換強要等


新型コロナウイルス感染症に関する措置として、妊婦の方が休業 する場合、有給の休暇制度を整備して与えた企業に対する助成金があります 。
妊婦の方が安心して休暇を取得し、出産後も活躍できる職場環境を整備するものです。

母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)

母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)は、厚生労働省ホームページや「女性にやさしい職場づくりナビ」からダウンロードできます。また、ほとんどの母子健康手帳にも様式が記載されています。

女性にやさしい職場づくりナビ

https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/


(上記より抜粋)
「母健連絡カード」は、医師等の女性労働者への指示事項を適切に事業主に伝達するためのツールです。働く妊産婦の方が医師等から通勤緩和や休憩などの指導を受けた場合、その指導内容が事業主の方に的確に伝えられるようにするために利用するものです。

◇事業主の方へ
性労働者から「母健連絡カード」が提出された場合、事業主の方は「母健連絡カード」の記載内容に応じた適切な措置を講じる必要があります。
※「母健連絡カード」は、「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」に、その様式が定められています。

◇女性労働者の方へ
妊娠中や産後は、身体的な症状が出て、仕事に影響が出ることがあります。また、仕事の内容によっては、母体や胎児への影響について不安を感じることもあるかもしれません。そのような場合は、健診等の際に、主治医等に相談してみましょう。 主治医等から診断や指導を受けた場合、「母健連絡カード」を利用して、事業主等に申し出をしましょう。

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置について

事業主の方へ
妊娠中の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません。

性労働者の方へ
働く妊婦の方は、職場の作業内容等によって、新型コロナウイルス感染症への感染について不安やストレスを抱える場合があります。
主治医等から指導があった場合、指導事項を的確に伝えるため母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)を書いてもらい、事業主に提出しましょう。

指導の例:感染のおそれが低い作業への転換又は出勤の制限(在宅勤務・休業)

母性健康管理措置には、他にも、以下のような措置があります。
 ●妊娠中の通勤緩和
 ●妊娠中の休憩に関する措置
 ●妊娠中又は出産後の症状等に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等)

なお、妊娠中の女性労働者は、時間外、休日労働、深夜業の制限等について、 主治医等からの指導がなくても請求できます(労働基準法)。


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社会福祉法人ネット事件(東京地判立川支部令2.3.13労判1226号36頁)

社会福祉法人ネット事件(東京地判立川支部令2.3.13労判1226号36頁)

1.事件の概要

Y社は、平成14年12月に設立された、A市内において障害福祉サービス事業を行う社会福祉法人である。なお、Y社の前身は、昭和62年に設立された「B」(権利能力なき社団。以下「B」という。)である。
Y社は、「C施設」、「D施設(以下「本件施設」という。)」、「E施設」、「F施設」の各作業所を設けた上で、障害福祉サービス事業を営んでいる。
Xは、昭和15年○月○日生まれの男性であり、Bに入職した後、Y社の設立時に、Y社との間で労働契約を締結した。
Xは、Y社設立時以降下記(4)の理事会決議(以下「本件決議」という。)があった平成28年6月25日までの間、本件施設の施設長として従事していた。なお、Xは、上記期間中Y社の理事の職にあったほか、Y社設立時から平成23年まではY社の事務局長、平成26年からはY社の理事長の職にあった。
本件は、本件施設の施設長であったXが、本件決議はY社による解雇の意思表示にあたり、同解雇は無効であるとして、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めて提訴したのが本件である。


就業規則の概要)
就業規則14条
職員は、満65歳になったその年度末をもって定年退職とする。退職通知は1ヵ月前に行うものとする。ただし、施設長については、法人が必要と認める場合は延長することができる。
就業規則12条
職員は次の各号に該当する場合は退職とする。
(1)退職を願い出て承認されたとき
(2)死亡したとき
(3)定年に達したとき(以下省略)
ウ 定款12条
2 この法人の設置経営する施設の長(以下「施設長」という。)は、理事会の議決を経て、理事長が任免する。
(4)本件決議
ア Y社は、平成28年6月25日、同年度第2回理事会を開催したところ、同理事会における第3号議案として「就業規則の定年に係る施設長の延長承認の件」が提示されていた。
イ 上記議案に関し、Xにつき、①65歳となった年度の翌年度から本件決議日までの定年延長と②その翌日である同月26日以降の定年延長の二つに分けて討議、決定する旨の議案説明がされ、議決が行われたところ、①については承認、②については否決された。

2.双方の主張

争点 本件決議により原Y社間の労働契約が終了したといえるか

(Y社の主張)
(1)就業規則14条は、Y社の職員につき65歳定年制を採用しながら、施設長に限り、例外的に「法人が必要と認める場合」には「延長することができる」ものとしている。
就業規則14条但書は、施設長については経験の高さや後継者探しの余裕等を考慮し、理事会の決議(定款12条)による信任があれば雇用延長し、法人及び施設の業務の連続性や継続性を担保するとともに、その業務に支障がないようにするという趣旨である。なお、Xは、法人創設時からの理事として就業規則の作成に関わっており、同条の趣旨も十分理解している。
(2)前記(1)に加え、65歳の定年を超えての雇用延長である以上、いずれかの時点で理事会の信任・承認が得られなくなることは確定した事実であるといえる。もっとも、他方で、個別の事情により、いつ上記の事実が生じるかは確定していないということができる。
また、一般に、高齢になれば、多忙極める事業所の施設長としての能力は年齢に応じて低減するといわざるを得ないことも併せ踏まえれば、理事会の承認が得られなかった時点で施設長の雇用期間を終了させる旨就業規則にて定めることは、十分な合理性がある(就業規則14条は、労働契約法7条の合理的な労働条件の定めとして、XY社間の労働契約の内容を構成しているといえる。)。
以上によれば、就業規則14条但書は、施設長の定年後の雇用延長につき、理事会の承認が得られなかったことを不確定期限として定めたものといえるから、理事会の承認が得られなかった時点で、施設長の定年後の雇用は終了する。
(3)本件において、Xが満65歳の定年を迎えた際に、Y社の理事会において就業規則14条但書に基づく承認決議を経ることがなかったのは事実であるが、他方で、定年時から10年近く雇用延長された施設長はXと「E施設」の施設長であったG氏(以下「G施設長」という。)しかいないことから、定年後の雇用延長が期限の定めのないものとなる旨の事実たる慣習ないし労使慣行があったとはいえない。また、前記のとおり、就業規則14条但書は、施設長の定年後の雇用延長の上限となる期限を定めているのであるから、事実上雇用延長が続いてしまったとしても、その雇用が無期となることはなく、黙示の更新の推定も働くものではない。
(4)以上からすれば、本件決議により、XとY社との労働契約は終了したものである。XとY社との労働契約の終了原因は、不確定期限の到来であって解雇ではないから、解雇の「客観的に合理的な理由」及び「社会通念上の相当性」の有無(解雇権濫用法理の適用ないし類推適用)は問題とならない。

(Xの主張)
(1)Y社は、就業規則14条但書は、施設長の定年後の雇用延長期間について、理事会の承認が得られない時点で終了するという不確定期限を定めたものであり、本件決議がその不確定期限の到来である旨主張する。
(2)しかし、延長の承認が得られない旨の理事会決議をもって不確定期限と評価しうるといえるか、雇用の延長に関する規定と評価しうるかは疑問である上、「施設長については、法人が認める場合は延長することができる。」との就業規則14条但書の文言を「承認しない時点で延長が終了する。」と読み替えることは文理上不可能である。また、Y社の主張によれば、就業規則14条但書は、65歳以降に延長された施設長の雇用について、理事会の不承認決議という使用者側の決定を終期とする特殊な期間を定めた内容の規定ということになる。しかし、そのような意味だとすると、使用者側の決定により雇用を終わらせる場合について、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性の有無を審査してその有効性を判定することを定めた労働契約法16条を潜脱することにならざるを得ないから、Y社主張の内容に係る解釈は採り得ない。
(3)Xは、平成18年3月31日時点で定年退職となるはずであったところ、何らの手続が行われることもなく施設長としての勤務を継続したのであるから、黙示の更新(民法629条)が成立しているものと解される。また、就業規則14条の規定に関しては、定年延長の規定と解釈するのが自然であるところ、Xに関しては、特段の期限を定めることもないまま黙示に定年を延長されてきたものとも解される。
そして、上記のいずれの見解に依拠したとしても、Y社が行った本件決議は、XとY社との間の雇用関係を終了させる(延長しない)旨のY社の意思表示、すなわち解雇の意思表示にほかならない。そして、Y社は、前記1のとおり、不確定期限の到来による雇用の終了であると主張して解雇理由の主張立証を行っていない以上、解雇は無効であって、労働契約は終了していない。
したがって、Xは、Y社との間の労働契約上の権利を有する地位にある。

3.判決の概要

1.後掲証拠によれば、就業規則14条の制定、適用並びに改正の経緯に関し、以下の事実が認められる。

(1)就業規則14条制定の経緯
就業規則14条は、Y社の設立(平成14年)と同時に制定されたものであったところ、文案の作成作業を中心となって行ったのはXであった。就業規則14条を作成するにあたっては、他の社会福祉法人の例を参考として、職員の定年を65歳としたが、施設長については後任の適任者を見つけるのが一般的に困難であり、65歳定年を機械的に適用すると事業所の継続が不可能になるとの事情を踏まえ、就業規則14条但書の文言を盛り込むこととし、Xが作成した文案が特段修正等されることもなく、就業規則として成立するに至った。

(2)制定後の運用の経緯
ア Xは、平成17年10月15日に満65歳となったところ、同時点において、Xは、本件施設の施設長を担当していた。その後、満65歳に達した年の年度末である平成18年3月31日が経過したが、その後も、本件決議に至るまでの間、本件施設の施設長としての勤務を継続した。他方、同勤務継続にあたり、理事会での決議の手続は行われなかった。
イ Y社においては、その後、「E施設」のG施設長が平成19年に、「F施設」のH施設長(以下「H施設長」という。)が平成21年にそれぞれ満65歳となったが、両施設長とも、当該年度末を超えて施設長としての勤務を継続した。なお、H施設長は、平成23年に退職し、G施設長は、本件決議と同日に定年延長を承認する旨の理事会決議がされた後、平成29年3月31日に退職した。なお、上記両施設長に関しても、65歳定年時において、理事会での決議の手続は行われていなかった。
ウ Y社においては、平成24年まで、「第2・D施設」(作業所)が存在したところ、「第2・D施設」は、平成24年3月末をもって本件施設に統合された。統合前の「第2・D施設」の施設長はI氏(以下「I施設長」という。)であった。同施設長は、満65歳に達した年度末である平成24年3月末が定年であったが、同施設長は同年5月まで勤務を続け、その後退職した。もっとも、同施設長が勤務を継続するにあたり、理事会での決議の手続は行われていない。

(3)改訂に向けた議論
前記(2)のとおり、Y社の施設長のうち2名は退職した一方、X及びG施設長は70歳を超えてなお雇用延長が継続していたことなどから、就業規則14条但書について、改訂に向けた議論が行われた。経緯の概要は、別紙中平成25年ないし28年の「就業規則14条をめぐる動き」欄のとおりであり、「75歳を限度とする」「施設長の延長は最大10年とする」「延長は1年毎とし、10年を超えないものとする」「65歳以上の延長は1年毎とし、その都度理事会に諮る」といった内容が議論されたが、本件決議時点までに現実に改訂されるには至らなかった。
なお、Xは、平成25年12月ころ及び平成28年3月ころ、施設長を退任して後任に委ねる旨の意向を示したことがあったが、後任者の人選につき反対意見が強かったこと、他の後任者も直ちには見つからなかった等の事情があったため、直ちに退任することにはならなかった。

(4)Y社は、平成27年12月17日にA市の指導検査を受けたところ、就業規則14条但書に基づく理事会決議を65歳定年時に行っていないことから、速やかに理事会で承認をもらって議事録に残すよう口頭で指導された。Y社は、平成28年5月にも、A市から同様の指摘を受けた。
このことから、Y社において、XとG施設長の定年延長を理事会の議事事項に付議することとし、平成28年6月25日に本件決議が行われた。
本件決議は、XとG施設長それぞれにつき、①定年時点から本件決議時点までの定年延長、②本件決議時点以後の定年延長、のそれぞれにつき、各理事の賛否を問う形で行われ、G施設長に関しては、①②ともに承認された。他方、Xについては、①については承認されたものの、②については承認されなかった。

(5)本件決議後に就業規則14条は改正され、平成29年3月25日から実施されることとなった。改正後の条文の内容は、次のとおりである。
「職員は、満65歳になったその年度末をもって定年退職とする。退職通知は1カ月前に行うものとする。但し、施設長については、法人が必要と認める場合は延長することができる。延長は1年毎とし理事会の承認を得るものとする。」


2.前記1の認定事実を前提に以下検討する。

(1)Y社は、前記第3の1のとおり、就業規則14条但書は、理事会決議において延長が承認されなかったことを労働契約の終期(不確定期限)として定めたものであり、本件決議により延長が承認されなかった結果、XとY社との間の労働契約は、不確定期限の到来により終了したものと主張するので、以下検討する。

(2)就業規則14条但書は、職員の定年が満65歳になったその年度末であることを前提として、「ただし、施設長については、法人が必要と認めるときは延長することができる。」と定めるところ、認定事実(1)のとおり、施設長に関しては、後任者を直ちに見つけるのが一般的に困難であり、65歳定年を機械的に適用すると事業所の継続が不可能ないし困難になるとの事情等を踏まえ、理事会の決議による信任があれば雇用延長し、法人及び施設の業務の連続性や継続性を担保する趣旨から制定されたものと認められる。
そうであるとすれば、就業規則14条但書は、施設長に関し、延長に関する理事会決議(承認)が得られたことを条件として、雇用の延長を認めた規定であり、雇用の延長期間に関しては、理事会決議において定めたところによることになる、と解するのが最も自然な解釈というべきである。

(3)この点Y社は、就業規則14条但書は、理事会決議による承認を得られなかったことを不確定期限として雇用を延長する規定である旨主張し、その根拠として、65歳の定年を超えての延長である以上はいずれかの時点で理事会の承認が得られないことは確定した事実であること等を挙げる。
しかし、「理事会の承認が得られないこと」が、発生することの確定した事実であるとまではいえないから、同事実を不確定期限と解するには疑義がある(認定事実(2)イによれば、定年後も施設長を継続したG施設長、H施設長は、いずれも、理事会の承認が得られなかった事実がないまま退職して雇用関係が終了しているのであり、理事会決議により承認されなかった事実があるのはXのみである。)。
また、Y社主張の解釈を前提とすると、施設長に関しては、同条本文による定年の規定にもかかわらず、延長に関する理事会決議(承認)がなくても当然に雇用延長の効果を生じているものと解釈せざるを得ないが、このような解釈は、就業規則14条但書の文言それ自体や本文の規定との関係に照らして無理がある。また、Y社主張の解釈を前提とすれば、「理事会の承認が得られなかったこと」とは、Y社において「施設長との間の労働契約(65歳定年後に延長されたもの)を終了させる旨の意思決定をすること」にほかならず、これは、実質的には解雇の意思表示であると評価せざるを得ない。そうすると、就業規則14条但書は、Y社が解雇の意思表示をしたときには無条件に雇用関係が終了する内容の規定と解さざるを得ず、このような解釈は、労働契約法16条の趣旨に悖るものといわざるを得ない。
そうすると、就業規則14条の解釈に関するY社の主張は採用することができず、前記(2)のとおり解釈するのが相当である。

(4)これを前提として本件についてみるに、認定事実(2)アのとおり、Xは、平成17年10月15日に満65歳に達し、平成18年3月31日に定年により退職となるはずであったが、雇用を延長する旨の手続(延長を承認する旨の理事会の決議)は何ら行われないまま、上記日以後も施設長としての勤務を継続したものであるから、上記日において雇用契約ははいったん定年により終了したことを前提として、黙示の更新が推定され、同推定を覆す事情は存在しないというほかはない民法629条。なお、認定事実(2)イのとおりの各施設の施設長の定年前後の経緯を併せ踏まえれば、Xについて、定年時において黙示に延長を承認する旨の決議がされたものと解釈する余地はあるが、これを前提としても、承認にかかる延長期間の定めはないというほかはない。)。そうすると、XとY社との間の労働契約は、本件決議時点においては、期限の定めのないものとして存在していたものと認められるから(就業規則14条但書が理事会による承認がされなかったことを不確定期限(労働契約の 終期)とする旨の規定であるとの解釈が採用できないことは前記(3)のとおりである。)、 本件決議があったことにより労働契約が終了するということはできない(労働契約を被告の意思決定により終了させるためには、解雇の意思表示・解約の申し入れをすることを要する。なお、前記(3)によれば、上記の意思決定をもって解雇の意思表示と評価する余地はあるというべきであるが、Y社は、本件において、解雇の客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性に関する主張立証をしない。)

4.解説

本件は、理事会の決議で、施設長の定年延長を認めるという特殊な事例ですが、就業規則に定める定年に達したにも関わらず、定年後再雇用等の手続をしなかった場合に一般化することができます。例えば、定年60歳で65歳までの定年後再雇用としている会社で、従業員が60歳になっても何もせずに、65歳を超過するようなケースです。
民法629条は、こういう場合を想定して「雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。」との推定規定を定めています。推定なので、雇用契約書や覚書等の反証があれば覆すことができますが、単に何もしていなかった場合には、本件のように推定規定どおり「同一の条件」で再雇用したと認定され、さらに「同一の条件」なので、定年前が無期雇用であれば、定年時に無期雇用で再雇用したとされる可能性があります。そうなると、この従業員との雇用契約を終了させるには、解雇また第2定年を定める就業規則の不利益変更というハードの高い方法によらざるを得なくなります。
なお、本件でY社は、「就業規則14条但書は、施設長の定年後の雇用延長期間について、理事会の承認が得られない時点で終了するという不確定期限を定めたものであり、本件決議がその不確定期限の到来である。」という、かなり無理な論法を取っています。(「解雇するまでの不確定期限を定めた」と主張しているようなものです)
反証が何も無かったためと思われますが、それ相応の理由で理事会の承認が得られなかったのであれば、予備的に解雇を主張し、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性に関する立証をすべきだったと私は考えます。

(雇用の更新の推定等)民法第629条
雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第627条の規定により解約の申入れをすることができる。

【雇止め】日本通運事件(東京地判令2.10.1労経速2438号3頁)

日本通運事件(東京地判令2.10.1労経速2438号3頁)

1.事件の概要

Xは、平成22年12月から派遣社員として、鉄道利用運送事業、貨物自動車運送業及び倉庫業等を営むY社のQ1支店Q2事業所において倉庫事務に従事していたところ、同24年6月1日以降、同30年3月31日までに、Y社を使用者、Xを労働者として、直接、労働契約1から労働契約8までを締結した。

各労働契約の期間は次のとおりであった。

労働契約1:平成24年6月1日~平成24年8月31日
労働契約2:平成24年9月1日~平成25年6月30日
労働契約3:平成25年7月1日~平成26年6月30日
労働契約4:平成26年7月1日~平成27年6月30日
労働契約5:平成27年7月1日~平成28年6月30日
労働契約6:平成28年7月1日~平成29年6月30日
労働契約7:平成29年7月1日~平成29年8月31日
労働契約8:平成29年9月1日~平成30年3月31日
※労働契約1~労働契約7は、「A支店のB事業所のC業務」と勤務地と業務を限定した契約

労働契約5及び6の各契約書には、労働契約1から4までに記載がなかった更新限度条項(「2013年4月1日以降、最初に更新した雇用契約の始期から通算して5年を超えて更新することはない。」旨の条項)が記載された。
Y社は、平成29年5月頃にCの商品配送業務を受注できなくなった。
労働契約7を締結する際には、Y社はXに対し、雇用契約について、期間の定めのある契約であり、次回以降の雇用契約は締結しないこと、更新年数の上限について、更新する場合でも平成29年8月31日を超えて更新することはないこと、明示された勤務地、勤務場所、従事業務に限定された雇用であること、これが消滅、縮小した場合には、契約を終了する可能性があることなど記載された文書(説明書面①)を交付し、説明していた。
労働契約8を締結する際には、Y社はXと面談し、労働契約8の契約書案を交付して読み上げ、また、雇用契約について、期間の定めのある契約であり、次回以降の雇用継続は締結しないこと、更新年数の上限について、平成30年3月末日までの今回の契約で雇用契約は終了すること、雇用契約は明示された勤務地、勤務場所、従事業務に限定された雇用であること、これが消滅、縮小した場合には、契約を終了する可能性があることなどが記載されていた説明書面②を交付し、読んでから署名するよう求められた。
Xは、その場で、説明書面②の「上記説明を受けました。」との確認部分に署名して、Y社に提出し、同年9月4日のQ6事業所での仕事始めに、署名した労働契約8の契約書を持参し、Y社に提出した。
Y社は、平成30年1月31日付けで、Xに対し、労働契約8の期間満了日である同年3月31日をもってXとの労働契約を終了させ、以後契約を更新しない旨の通知をしたところ、Xは、Y社に対し、同年3月12日到着の通知書により、労働契約の更新の申込みをする旨の意思表示をした。
Xは、XとY社の労働契約は労働契約法19条1号又は2号の要件を満たしており、雇止めについて客観的合理的な理由も社会通念上相当性もないため、従前の労働契約の内容で契約が更新されたと主張して、Y社に対して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めて、提訴したのが本件である。

2.判決の概要

① 本件雇止めが、期間の定めのない労働契約を解雇により終了させることと社会通念上同視できるか(労契法19条1号)

(1)労契法19条1号に当たる場合
労契法19条1号は、最高裁昭和49年7月22日第一小法廷判決・民集28巻5号927頁(東芝柳町工場事件)の判例法理を実定法としたものであることから、同号に該当するといえるには、同判決の事案のように、有期労働契約の期間の満了ごとに厳密な更新処理がされない状況下で多数回の契約が更新され、これまで雇止めがされたこともないといった事情などから、当事者のいずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であったと認められる場合であることを要し、そのことによって、期間の満了ごとに当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であると認められる場合であることを要するものと解される。

(2)本件の検討
XとY社との間の労働契約の契約期間は通算5年10箇月、有期労働契約の更新回数は7回に及ぶものの、毎回、必ず契約書が作成されており、契約日の前に、Y社の管理職からXに対し、Xの署名押印を求める契約書を交付し、管理職がXの面前で契約書を読み上げて契約の意思を確認するといった手続を取っており)、更新処理が形骸化していたとはいえず、いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であったと認められる場合には当たらないというべきである。

(3)Xの主張についての補足的判断
Xは、労働契約4は契約日を過ぎてから日付を遡って手続が行われた旨主張し、これに沿う供述等をするが、これを裏付ける的確な証拠はなく採用できない。
また、Xは労働契約7及び8の契約締結が日付を遡って行われた旨主張するが、両契約の締結の経緯は、前記で認定したとおりであり、いずれも、契約日より前に、Y社の管理職が、Xに対して契約書を交付して、内容を読み上げる手続が取られている。そして、Xの署名押印した契約書のY社への提出が、Xが管理職に預けた契約書を保留していたため契約日の翌営業日になったり、新しい事業所への出勤初日になったりしたからといって、意思表示の合致(契約成立)が契約書記載の契約日より後であったとも必ずしもいえないものであるし、これをもってY社の契約の管理が形骸化していたとは評価できない。

(4)小括
したがって、XとY社との労働契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態に至っていたとは認め難く、当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を解雇により終了させることと社会通念上同視できると認められる場合(労契法19条1号)には該当しない。

② 有労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められるか(労契法19条2号)

(1)期待の合理性の判断基準
労契法19条2号は、最高裁昭和61年12月4日第一小法廷判決・裁判集民事149号209頁(日立メディコ事件)の判例法理を実定法としたものであるから、同号の要件に該当するか否かは、同判決や前記2(1)の判決のように、当該雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待をもたせる使用者の言動の有無などの客観的事実を総合考慮して判断されるべきものである。
また、同号の「満了時」は、最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた労働契約の満了時までの間における全ての事情が総合的に勘案されることを示すものと解されるから、いったん労働者が雇用継続への合理的期待を抱いていたにもかかわらず、当該有期労働契約期間満了前に使用者が更新年数の上限を一方的に宣言したとしても、そのことのみをもって直ちに同号の該当性が否定されることにはならないと解される。

(2)労働契約5から8までの不更新(更新限度)条項について
労働契約5及び6の契約書には更新限度条項が、労働契約7及び8の契約書には不更新条項がそれぞれ設けられている(以下、これらの条項を「不更新条項等」という。)。Xは、不更新条項等は、公序良俗に反して無効となると主張するが、強行法規によって与えられた権利を事後に放棄することは一般的には可能であり、雇用継続の期待が発生した場合にこれを放棄することを禁止すべき根拠はなく、採用できない。そのように解すると、本件においては、不更新条項等に対する同意の効果として、契約書作成時点でXが雇用継続の合理的期待を抱いていたとしても、Xがこれを放棄したことになるのではないか問題となる(Y社の主張もこれと同趣旨のものと解される。)。
しかし、本件のように契約書に不更新条項等が記載され、これに対する同意が更新の条件となっている場合には、労働者としては署名を拒否して直ちに契約関係を終了させるか、署名して次期の期間満了時に契約関係を終了させるかの二者択一を迫られるため、労働者が不更新条項を含む契約書に署名押印する行為は、労働者の自由な意思に基づくものか一般的に疑問があり、契約更新時において労働者が置かれた前記の状況を考慮すれば、不更新条項等を含む契約書に署名押印する行為があることをもって、直ちに不更新条項等に対する承諾があり、合理的期待の放棄がされたと認めるべきではない。労働者が置かれた前記の状況からすれば、前記行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する場合に限り最高裁平成28年2月19日第二小法廷判決・民集70巻2号123頁(山梨県民信用組合事件)参照)、労働者により更新に対する合理的な期待の放棄がされたと認めるべきである。
本件では、労働契約5の締結時に、不更新条項等が初めて契約書に記載されたが、労働契約5及び6の締結時、Y社の管理職が、Xに対し、Y社運用基準の存在や不更新条項等の法的効果について説明したことを認めるに足りる証拠はなく、また、Xは、労働契約7の締結の際、管理職に対し、不更新条項等について異議を留めるメールを送っている。そうすると、労働契約5から8までの不更新条項等の契約書に署名押印する行為がXの自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が、客観的に存在するとはいえない。
したがって、仮にXの雇用継続の期待が合理的であるといえる場合であっても、Xが、労働契約5から8までの契約書に署名押印したことをもって、その合理的期待を放棄したと認めることはできない。
また、当該有期労働契約期間満了前に使用者が更新年数の上限を一方的に宣言したとしても、そのことのみをもって直ちに同号の該当性が否定されることにはならないから、不更新条項等の存在をもって直ちに労契法19条2号の該当性が否定されることにはならない。
このようなことから、労働契約6から8までの不更新条項等の存在は、Xの雇用継続の期待の合理性を判断するための事情の一つにとどまるというべきである。
以下、このような一事情を含めて、最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた労働契約の満了時までの間におけるすべての事情を総合的に勘案して「満了時」におけるXの雇用継続の期待の合理性があるか検討する。

(3)労働契約8の満了時におけるXの雇用継続の期待の合理性
労働契約8の満了時、XとY社との間の労働契約の契約期間は通算5年10か月、有期労働契約の更新回数は7回に及ぶものであった。
他方で、XとY社との労働契約では、毎回、必ず契約書が作成されており、契約日より前に、Y社の管理職からXに対し、契約書を交付し、管理職がXの面前で契約書全部を読み上げて契約の意思を確認する手続を取っていた。また、労働契約1から7までの契約書に定められた勤務地はA支店のB事業所であり、契約書に定められた勤務内容はCの商品配送の事務作業であり、労働契約1を締結した当初から、契約書には更新時の業務量が更新の判断基準であることが記載され、労働契約5から7までの契約書には、契約は契約書記載の勤務地で、契約書記載の業務を遂行するためのものであり、これが消滅縮小した場合は契約を終了することが記載されていた。そして、労働契約1から7までの契約期間中にXが現実に担当していた業務は、契約書どおりA支店のB事業所におけるCの商品配送業務の事務作業であり、それ以外の顧客の業務は5%以下であったこと、Cの商品配送業務は、Y社が顧客のCから単年度ごとの入札を経て受注していたものであった。
以上からすれば、労働契約1から7までは、B事業所におけるCの商品配送業務をY社が受注する限りにおいて継続する性質の雇用であり、そのことがXに対し明示されていたといえる。
そして、Y社は、平成29年5月頃にCの商品配送業務を受注できず、それにより、同年8月末日をもってB事業所の閉鎖を余儀無くされ、Xが従事していた業務がなくなることとなったため、直近4年間の労働契約3から6までは、7月1日開始の期間1年の契約であったのに、次期の労働契約7は、Cの受注の終期と同じく、同年7月1日から同年8月31日までの期間2か月の契約となった。そして、期間2か月の労働契約7を締結する前に、Xは、Y社の管理職から、Y社がCの業務を受注できなかったこと、そのためB事業所の業務が同年8月末までで終わり、次期契約は同業務が終了するまでの期間2か月の契約となること、その後の更新はされないことの説明を、個人面談も含めて2回以上受け、雇止めの際は失業保険給付までの期間を最短とするため会社都合とすることや、Y社に代わってCの業務を受注した後継業者への移籍もできることが説明され、後継業者との面接を希望するか否か意思を確認され、後継業者との面接を行った。労働契約7の締結時には、管理職が、Xに対し、不更新条項を設けた契約書の読み上げを行い、Xは、Y社の管理職から、契約書とは別に説明書面を交付され、同書面に基づいて、次回の更新はしないこと、明示された勤務地、勤務場所及び従事業務に限定された雇用であること、これがなくなったり、縮小した場合には、契約を終了する可能性があることの説明を受けたほか、更新はないのかとのXの質問に対し、管理職から、「有期雇用契約社員には雇用上限が設けられているため、仮に、平成29年9月以降に別の事業所で働くとしても、ずっとY社で働くことはできない。」旨の説明を受けた。また、Xが後継業者への移籍を希望せず、Y社の別の事業所での労働契約を希望したことを受けて、Y社から、Xに対し、別の支店の事業所を就業場所とする労働契約8が提案され、期間7か月の労働契約8が締結されることになったが、労働契約8の締結前には、Y社の管理職が、Xと面談し、不更新条項が設けられた契約書を読み上げたほか、次回以降の雇用契約は締結しないこと、更新年数の上限は期間満了日であり、今回の契約で雇用契約は終了すること、雇用契約は、明示された勤務地、勤務場所及び業務に限定された雇用であること、これがなくなったり、縮小した場合には、契約を終了する可能性があることなどが記載された説明書面を交付して、同書面に基づき説明を行った。
以上の各事実からすれば、労働契約1から7までは、B事業所におけるCの商品配送業務をY社が受注する限りにおいて継続する性質の雇用であったところ、Y社が同業務を受注できず事業所を閉鎖して撤退するに至ったため、労働契約7の締結前に、Xが、Y社の管理職から、Y社がCの商品配送業務を失注し事業所を閉鎖する見込みとなり、次期契約期間満了後の雇用継続がないことについて、個人面談を含めた複数回の説明を受け、Y社に代わりC業務を受注した後継業者への移籍ができることなどを説明され、契約書にも不更新条項が設けられたことにより、労働契約7の締結の時点においては、それまでの契約期間通算5年1箇月、5回の更新がされたことによって生じるべき更新の合理的期待は、打ち消されてしまったといえる。そして、労働契約8締結時も、契約書に不更新条項が設けられ、管理職が、Xに対し、契約期間満了後は更新がないことについて説明書面を交付して改めて説明を行ったことにより、合理的な期待が生じる余地はなかったといえる。
したがって、労働契約8の期間満了時において、Xが、Y社との有期労働契約が更新されるものと期待したとしても、その期待について合理的な理由があるとは認められない。

(4)労働契約8の締結についての補足
ところで、労働契約7の締結に際し、Cの商品配送業務を失注して事業所及び担当業務がなくなったとの説明の下に契約期間を短縮し、不更新条項を設け、契約更新はない旨の説明がされたにもかかわらず、その後、他の事業所を勤務場所とする労働契約8を締結したことは、不更新条項を設けた労働契約8の後にも、なお更新があり得ると期待させる一事実といえるので、この点についての評価を以下補足する。
労働契約7で不更新条項を設けたにもかかわらず、労働契約8を締結した理由について、Y社は、XがP労組の組合員であったことから、P労組からの「Y社運用基準の雇用期間の上限である平成30年3月末日までは雇用してほしい。」との意見を踏まえて決定した旨主張しているところ、Xが加入していたP労組は、平成26年4月当時から、Y社運営基準(その内容は、労契法18条が施行された平成25年4月1日から少なくとも通算4年2か月以上雇用された有期雇用者に対して無期転換権を付与するものであり、同日から通算5年以上雇用される有期雇用者に対して無期転換権を付与する同法の趣旨を拡張する内容である。)を了承していたこと、労働契約7の締結後、Xの雇用問題についてP労組のe支部の執行部が認識し得る状況であったことからすれば、前記Y社の説明は不合理ではない。また、Y社では、Y社運用基準について、労働者に対し、管理職からは直接説明させないが、P労組執行部から説明させる方針であったこと、P労組が、労働契約7が締結される前、Xと同じ支店社員で、Y社運用基準により無期転換権が付与されるNに対しては、無期転換権が付与される旨説明していた事実が窺えること、Xが加入していたP労組のe支部の執行部は、Xの雇用問題についてY社経営側と協議したが、平成30年4月1日以降のXの雇用継続については、実現できないとの態度を示し、それゆえ、Xはdに加入することになったと認められることからすれば、Xが、P労組のe支部から、Y社運営基準によれば、Xの雇用期間が無期転換権付与の年数に達しないため、Nとは異なり、Xに対しては無期転換権が付与されない結果となることについて、何らの説明も受けていなかったといえるかは(Xは説明を否定するが)、疑問がある。
そして、このような労働契約8の締結に至ったY社側の事情や、労働契約8の締結時、Y社の管理職が、Xに対し、説明書面を交付して契約期間満了後は更新がないことについて説明を行ったこと、労働契約8の契約書にも不更新条項が設けられたこと、Xが加入していたP労組のe支部が、Xの労働問題についてY社経営側と協議するなどしたが、結局は、Xに対し、平成30年4月1日以降のXの雇用継続について実現できないとの態度を示したことを考慮すると、労働契約7の不更新条項にもかかわらず労働契約8が締結されたからといって、労働契約8の次の更新があり得ると客観的に期待できる状況であったということはできないから、同契約後に契約が更新されるとの期待について合理的な理由があるとはいえない。

(5)契約更新への合理的期待を裏付けるものとしてXが主張するその余の事情について
ア 労働契約1から8までの担当業務の記載について
Xは、労働契約1から7までの契約書には、就業場所、勤務内容について、A支店のB事業所のC業務との記載の後に「ただし、業務の都合により変更する場合がある。」と記載されていることから、担当する業務はC業務に限定されていたわけではなく、C業務がなくなった場合は他の業務への変更が当然に予定されていたし、雇止め以前にC以外の業務を行ったこともあったから、C業務がなくなったからといって担当業務がなくなることは想定されておらず、このことは、労働契約8のHの業務に関しても同様である旨主張する。
しかし、労働契約1から7までの契約書には、前記の記載のほか、更新時の業務量が更新の判断基準であることが記載され、労働契約5から7までの契約書では、契約は契約書記載の勤務地で、契約書記載の業務を遂行するためのものであり、これが消滅縮小した場合は契約を終了することが記載されていたこと、労働契約1から7までの際、XはB事業所以外で就労したことはなく、同事業所でXが担当していた業務は95%以上がCの商品配送業務であったこと、Y社がC業務を失注してB事業所を閉鎖する見込みとなった際には、労働契約7の締結前に、Xは、Y社から、Cの失注、B事業所の閉鎖及びこれに伴い受注の終期に合わせて労働契約7の契約期間は2箇月に短縮されることを告知されていたことからすれば、労働契約1から7までは、BにおけるCの商品配送業務をY社が受注する限りにおいて継続する性質の雇用であることがXに示されていたといえる。そして、「業務の都合により変更することがある。」旨の記載は、それ自体は、Y社の都合により就労場所や業務内容を変更することがあるというにすぎず、契約書記載の就業場所及び勤務内容の業務がなくなった場合に、他の事業所での契約更新を予定するという趣旨があるとはいえない。労働契約8についても、担当業務にも「業務の都合により変更することがある。」旨の記載があるが、労働契約8の締結前に、Y社から、Xに対し、契約書に明示された就労場所、業務に限定された雇用であり、これが失われたり、縮小した場合には、契約を終了する可能性があることが説明されていることからすれば、「業務の都合により変更することがある。」旨の記載をもって、契約書記載の就業場所及び勤務内容が失われた場合に、他の事業所及び勤務内容での契約更新を行うことを予定し、これを期待させる記載であるとはいえない。したがって、Xの主張は採用できない。

イ 平成29年7月27日のK営業課長の発言
Xは、契約更新に対する期待が合理的であることを裏付ける事情として、平成29年7月27日のK営業課長の発言中に、「Xが労働契約8を結んで仕事に慣れたら労働契約8の期間満了である平成30年3月31日以降のことも話し合われる。」などの発言があった旨主張しているところ、Xが主張する前記発言がされた事実が認められることは前記のとおりである。
しかし、K営業課長は、その発言の際、Xに対し、平成30年3月31日以降のことはE支店のL総務課長にきいてほしいこと、XをE支店に行かせるといった権限は自分にはないこと、Xと面談してXの意思をY社に伝えるのが自分の役割であることなども述べており、前記発言は、K営業課長が自らの権限に属しない事項について憶測を述べたものであることが、その発言内容自体から明らかである。したがって、K営業課長の発言をもって、Xが契約更新への期待を持つことが合理的であるとはいえない。

ウ 本件フローの存在
Xは、契約更新に対するXの期待が合理的であることを裏付ける事情として、平成29年6月中旬頃、Y社社内LANの共有フォルダにおいて本件フローを発見し、本件フローには「既存雇用者→平成26年6月1日時点で勤続2年以上→平成30年4月1日までの更新年月日時点で満60歳未満→平成30年4月1日時点満60歳未満→無期転換権あり、更新上限無し、契約期間は60歳まで無期契約」旨の記載があったことから、自らが無期転換権を行使できる者に当たるという認識を持った旨主張する。
しかし、本件フローは、Y社が、Xに対して示したものでも、その内容について説明をしたものでもなく、Xが、上長の許可を得ることなく、Y社社内LANの共有フォルダから取得したデータである。そして、本件フローは、Y社のJ支店の有期労働契約者のうち、4月1日を契約更新日とする者に適用されるものであり、7月1日が契約更新日であったXには適用されないものであった。また、本件フロー自体、前記記載以外に何らの説明もない文書であり、作成者、作成日付、作成目的は明らかではなく、対象者、読み方、使い方は不明なものであった。
したがって、本件フローの存在をもって、Xの期待が合理的であると評価することはできない。
なお、Xは、平成29年6月中旬頃に本件フローを取得して期待を抱いた旨主張し、X本人はこれに沿う陳述をするが、Xは、労働契約7及び8締結の際の面談、その後のK営業課長との面談の機会、dとY社との協議の場において、本件フローに言及したことはなく、Xが本件フローを平成29年6月に取得したとのXの主張は、必ずしも採用できるとはいえない。
以上のとおり、本件フローについてのXの認識に関する事情は、Xが、Y社のあずかり知らぬところで入手した情報に基づいて形成した主観的な期待にすぎないものであって、Xの契約更新への期待の合理性を基礎付ける事情とはいえない。

エ 労働契約1、7及び8の締結時の営業課長又は総務課長の発言等
Xは、契約更新に対するXの期待が合理的であることを裏付ける事情として、労働契約1締結時のI営業課長から、「Cは長くお付き合いがあるので、長く働いてください。」と、労働契約7締結時に、K営業課長から「悪いようにしない。」と、労働契約8締結時に、L総務課長から更新があるかのような言葉を、それぞれ言われた旨主張し、これに沿う供述をするが、これを裏付ける的確な証拠は存在しないため、これを採用することはできない。
オ 他の有期雇用者の更新状況
Xは、Xと同様にA支店の支店社員であったNが無期転換権を行使したことが、Xの合理的期待を裏付ける事情であると主張する。しかし、Nは、Xより1年半以上早く入社しており、Y社運用基準の基準日における契約期間満了日までの契約期間がXよりも長く、Xと同様の立場にあるとはいえない。他方、Xと同様、派遣社員として勤務していた経歴を持ち、Xと同一日に支店社員として入社した
Qは、Y社運用基準を満たしていないため、無期転換権の行使が認められず、退職していることを踏まえると、X以外の支店社員の更新状況から、Xが契約更新への期待を持つことが合理的であったとはいえない。
カ 本件雇止めが無期転換権の潜脱であるとの主張について
Xは、労契法18条の適用を免れる目的で不更新条項等を設けて行った本件雇止めが、労契法18条の無期転換権の潜脱である旨主張するが、労契法18条は、有期契約の利用自体は許容しつつ、5年を超えたときに無期雇用へ移行させることで、有期契約の濫用的利用を抑制し、もって労働者の雇用の安定を図る趣旨の規定である。Xは、5年を超えて雇用されておらず、かつ、労契法19条2号の適用により5年を超えて雇用されたことになるともいえないのであるから、Xについて、労契法18条の保護が及ぶことはなく、本件雇止めが同条の潜脱となるとはいえない。

(6)まとめ
以上によれば、労働契約8の満了時において、当初の契約時から満了時までの事情を総合してみれば、XがY社との間の有期労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由がある(労契法19条2号)とは認められない。
したがって、Xの請求は、その余の争点につき判断するまでもなく、理由がない。

3.解説

本件は、事業所の閉鎖と限定されていた業務が無くなったことによる雇止めで、一般的には比較的認められやすいケースですが、不更新条項が付された契約書に署名捺印をもらっただけではなく、複数回の面談や説明文書交付により、会社の事情を丁寧に説明したことが、本人の更新への期待を打ち消したと認められました。
本件のように契約書に不更新条項等が記載され、これに対する同意が更新の条件とするのは、変更解約告知に類似するものです。これに対して、不更新条項について労働者が争うことを留保しつつ更新して、暫定的に新労働条件に従って就労することによって、雇止めを回避することは、いわゆる「留保付き承諾」に類似するものです。
もし、留保付き承諾が認められるなら、本件のようなケースでも「署名して次期の期間満了時に契約関係を終了させるかの二者択一を迫られる」という状況にはなりませんが、民法には、申込みに条件を付した承諾は申込みを拒絶しての新たな申込みとみなすとの規定(民法528条)があり、留保付き承諾は認められないというのがわが国の現状です。
従って、不更新条項等が付された契約書に署名しただけでは「不更新であることを同意した」や「更新があるという期待を放棄した」ことが認められず、労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する場合に限りにおいて、認められることになるのです。

(2021年4月11日現在)まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について

(2021年4月11日現在)まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について

2021年(令和3年)4月1日より、東京23区や京都市などが特例の対象となる区域及び期間となりましたので、まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例についてまとめておきます。

ここに記載する内容は、東京23区や京都市などが特例の対象となる区域を対象とするものです。
それ以外の地域は、こちらに記載されているように2021年(令和3年)5月以降、縮減される予定です。
https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2021/03/25/203932

最終的にどうなるかは、4月末までに公表されると思いますが、5月以降もワクチンが普及するまでの間は、4月末までの特例を縮減させずに継続すべきだと個人的には思います。

以下が、まん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000768238.pdf


まん延防止等重点措置を実施すべき区域の公示に伴い、まん延防止等重点措置の対象区域(職業安定局長が定める区域)において都道府県知事による営業時間の短縮等の要請等に協力する大企業について、雇用調整助成金の助成率を最大10/10に引き上げる特例が適用になります。

大企業の助成率の引き上げについて

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特例の対象となる区域及び期間

※ 本特例措置は4月末まで実施することとなっていますが、今後、関係省令の改正により令和3年5月1日から令和3年6月30日までの期間においても、引き続き特例措置を実施する予定です。

【令和3年4月5日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
宮城県仙台市
大阪府大阪市
兵庫県:神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市

【令和3年4月12日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
・東京都:23区、八王子市、立川市武蔵野市府中市調布市、町田市
京都府京都市
沖縄県那覇市宜野湾市浦添市、名護市、糸満市沖縄市豊見城市うるま市南城市

対象となる休業等

特例の対象となる区域内で事業を行う飲食店等の事業主が、営業時間の短縮、収容率・人数上限の制限、飲食物の提供を控えるなどの知事の要請等の対象となる当該区域内の施設について、要請等に協力し、その雇用する労働者の休業等を行った場合
※ 施設において催物(イベント等)を開催した(又は予定していたが開催できなくなった)事業者に雇用される労働者(開催縮小等がなされる催物に従事する労働者)について休業等を行った場合も含みます。

申請様式

まん延防止等重点措置に係る地域特例の申請様式については、4月の中旬以降に下記リンクに掲載される予定です。
支給申請をお急ぎの大企業事業主の方は、まずは通常のコロナ特例の様式(※)を使って、管轄の労働局に支給申請を行って下さい。申請いただいた内容にて一度支給決定受け、その後で所定の様式を使ってまん延防止等重点措置に係る地域特例の再申請を行うことになります。
(※)通常のコロナ特例の様式では助成率は2/3(解雇等を行っていない場合は3/4)となります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html

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新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言等を踏まえた障害年金診断書の取扱いについて(令和3年4月5日)

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言等を踏まえた障害年金診断書の取扱いについて(令和3年4月5日)

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2021/202104/2021040701.html


障害年金を受給されている方は、提出期限までに、障害年金診断書を日本年金機構に提出していただく必要があり、期限までに提出されない場合は、通常は、障害年金の支払いが一時差止めとなります。

障害年金診断書の作成可能期間は3カ月間とされていますが、緊急事態宣言(期間:令和3年1月8日~同年3月21日)やまん延防止等重点措置(期間:令和3年4月5日~同年5月5日)の対象地域に居住する方や、圏域をまたいで対象地域の医療機関を受診する方が、医療機関を受診できず、通常の手続を円滑に行うことができない場合も想定されます。

このため、以下のとおり、障害年金診断書の提出についての特例措置を講じます。
1.提出期限が令和3年2月末日である方
 令和3年6月末日までに障害年金診断書が提出された場合は、障害年金の支払いの一時差止めは行いません。

2.提出期限が令和3年3月末日、4月末日、5月末日または6月末日である方
 令和3年7月末日までに障害年金診断書が提出された場合は、障害年金の支払いの一時差止めは行いません。

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ハマキョウレックス(無期転換)事件(大阪地判令2.11.15労経速2439号3頁)

ハマキョウレックス(無期転換)事件(大阪地判令2.11.15労経速2439号3頁)

いまさら、労働経済速報誌であのハマキョウレックス事件を取り上げたのかと思ったら、同社において無期転換後の労働者が、正社員との賃金差額等の支払を求めた事案でした。

1.事件の概要

X1は、平成20年10月、X2は、同22年9月、それぞれY社と有期労働契約を締結し、トラック運転手として配送業務に従事しながら、以降更新を重ねてきた。その後XらとY社の間に同年10月1日を始期とする無期労働契約が成立した。
一方、Y社は、同29年10月1日付けで、有期の契約社員に適用される嘱託、臨時従業員およびパートタイマー就業規則(以下「契約社員就業規則」)に無期転換に関する規定を追加する等の改定を行い、XらとY社の間で、同30年11月2日、無期転換後の労働条件は契約社員就業規則による旨の記載のある無期パート雇用契約書を交わした。
Xらが、転換後の労働契約について、正社員に適用される就業規則(以下「正社員就業規則」)によるべきと主張して、正社員就業規則に基づく権利を有する地位になることの確認、正社員との賃金差額等の支払を求めて提訴したのが本件である。
なお、X1は本件以前に、採用時に半年か1年後に正社員にする旨の約束があったことを請求原因として、本件の確認請求と同旨の請求を行ったが、これを棄却する判決(ハマキョウレックス事件(最二小判平30.6.1民集72巻2号88頁)、以下「前訴最判」)が既に確定している。

2.XらとY社の主張

争点1 本案前の答弁(本件訴えの提起は信義則に反するか)

Y社の主張

既判力のある判断のほか、実質的に敗訴に終わった前訴の請求ないし主張の蒸し返しに当たるような訴えの提起は信義則に反して許されないというべきである。
しかるところ、X1は、前訴において、採用時に半年か1年後に正社員にする旨の約束があったことを請求原因として、本件の確認請求と同旨の請求を行い、これを棄却する判決が既に確定している。
したがって、少なくともX1は、正社員にする約束があったことを理由にして本件の確認請求を行うことは許されない。
さらに、前訴最判は、Y社において、正社員に適用される就業規則と有期の契約社員に適用される就業規則は別個独立のものとして截然と区分されており、たとえ有期の契約社員に適用される就業規則における労働条件の定めが無効になったとしても、それによって有期の契約社員に正社員の就業規則が適用されることにはならない旨判示しているから、Y社における就業規則の解釈につき確定した判断が既になされている。
ところが、Xらは、本件訴訟において、前訴最判で退けられた主張と同旨の主張を織り交ぜた主張を行っており、前訴における紛争の実質的な蒸し返しをしていることに他ならない。
なお、X2は前訴の当事者ではなかったものの、その主張はX1と概ね変わるところがないから、両者を別異に取り扱う必要はない。
よって、Xらの訴えは不適法であり、却下されるべきである。

Xらの主張

前訴の既判力が及ぶのは、「Xらが、Y社に対し、無事故手当、作業手当、給食手当、住宅手当、皆勤手当、通勤手当、家族手当、賞与、定期昇給及び退職金の支給に関し、正社員と同一の権利を有する地位にあることを確認する」との請求を棄却する部分であり、判決理由中の判断に既判力は生じない。
また、前訴は、X1が有期労働契約を締結していた時期の訴訟であるのに対し、本件訴訟は、無期転換後のものである。このように、前訴の既判力の基準時後に雇用形態の変化があったのであるから、本件訴訟に前訴の既判力は及ばず、紛争の蒸し返しにも当たらない。

争点2 無期転換後の労働条件に関し、正社員就業規則による旨の合意の有無

Xらの主張

ア Xらは、Y社に対し、無期転換後の労働条件について、正社員と同じ内容とする旨の申込みを次のとおり行った。
(ア)本件組合は、平成23年11月12日付け分会要求書によって組合員を正社員とすることを要求した。
(イ)本件組合は、平成30年6月12日付け団体交渉申入書において、Xらを正社員とすることを要求した。
(ウ)本件組合は、平成30年9月21日の団体交渉において、そもそもの要求が正社員化である旨を述べ、無期転換後は正社員就業規則が適用されるべきものである旨を述べた。
(エ)本件組合は、平成30年10月22日付け抗議申入書において、同月1日をもって、Xらについては正社員就業規則が適用となることは明らかである旨を主張した。
(オ)本件組合は、平成30年10月26日の団体交渉において、Xらの無期転換後の労働条件には正社員就業規則が適用されると考えている旨を述べた。

イ Y社は、Xらに対し、無期転換後の労働条件は無期パート雇用契約書及び契約社員就業規則によるとの意思を表明しているが、無期パート雇用契約書による意思表示が無効であり、契約社員就業規則がXらに適用されない場合には、正社員就業規則を適用するほかないとの意思であったと解釈すべきであり、ここにおいてXらとY社の意思は合致し、無期転換後のXらに正社員就業規則が適用される旨の合意が成立したというべきところ、Y社は、遅くとも平成30年10月26日の団体交渉時までに、無期転換後のXらに正社員就業規則が適用されることを黙示的に承諾した。

ウ そして、XらとY社の無期パート雇用契約書のうち賃金に関する労働条件の部分及び契約社員就業規則によるとする部分は、次のとおり無効である。
(ア)Xらは、従前から、組合を通じてXらの正社員化を要求し、無期転換後は正社員就業規則が適用されると考えている旨を明らかにしていたのであり、これに反する内容の無期パート雇用契約書に署名押印したのは、無期転換のための手続上必要な形式的なことと考えたからにすぎない。Xらは無期パート雇用契約書に表示されている内容に対応する意思を欠いているのであって、無期パート雇用契約書の契約社員就業規則が適用されるという部分についてのXらの意思表示は錯誤により無効である。
(イ)無期パート雇用契約書は、労働協約たる組合とY社との事前協議条項及び事前協議の合意に反するものであるから、労働組合法(以下「労組法」という。)16条によっても無効である。

エ また、契約社員就業規則は、次のとおり、Xらに適用されない。
(ア)Xらは、組合を通じて、契約社員就業規則の適用を拒否する意思を明らかにしてきたから、契約社員就業規則をXらに適用することは合意原則(労契法1条、3条1項、6条)に反し、許されない。
(イ)無期転換後の労働条件を無期転換前のそれと同一とすることを定めた契約社員就業規則2条2号及び10条3項(以下「無期契約社員規定」という。)は、平成29年10月1日改正により追加されたものであるところ、同規定は、Xらの無期転換時点ではすでに存在していたから労契法7条の適用が問題となる。しかるところ、無期契約社員規定は、合理性の要件を満たさないため、無効である。
すなわち、無期転換後のXらと正社員との間で、職務の内容及び配置の変更の範囲等の就業の実態において違いはないのに、無期契約社員規定を適用してXらに正社員より明らかに不利な労働条件を設定することは、労契法3条2項の均衡考慮の原則に反するとともに、同条4項の信義則に反する。
(ウ)契約社員就業規則は、XらがY社と有期労働契約を締結していた時からXらに適用されており、無期契約社員規定の追加はすでに適用されている就業規則の変更とみることもできるところ、これはXらにとって実質的に労働条件の不利益変更に当たる。そして、Y社において無期契約社員規定を追加する必要性は不十分であるほか、合理性の要件も満たさないから、労契法10条類推適用により無効である。
すなわち、Xらは、組合を通じて正社員への転換を要求し、無期契約社員規定の追加に反対していたほか、XX1においては採用の際に、半年か1年後に正社員にするとの約束をY社から取り付けていたから、Xらは、無期転換後は正社員としての地位を得る合理的期待を有していた。無期契約社員規定はXらの上記合理的期待を侵害するものであり、これによるXの不利益は大きく、就労の実態からみて均衡考慮原則に反することは前記のとおりであり、これを合理化する事情はない。
他方、Y社において、無期契約社員規定を追加する必要性は、人件費の増大の抑制にあるが、有期契約労働者の雇用の安定及び公正な待遇等の確保という労契法の趣旨に照らし、Y社の上記必要性を過大に評価すべきでない。また、Y社から組合に対して無期契約社員規定を追加する必要性について十分な説明もされていない

(Y社の主張)

ア XらがY社に対して正社員にするよう要求した事実があったとしても、Y社がそれを承諾した事実はない。なお、Y社は、平成30年10月26日の団体交渉において、Xらを正社員にしない旨を明確に回答している。

イ かえって、XらとY社との間には、無期契約社員規定を追加した契約社員就業規則を適用することについての明示の合意がある。
(ア)すなわち、Y社は、平成29年9月8日、組合に対し、契約社員就業規則に無期契約社員規定を追加するなどの変更を行うことを通知し、その後、団体交渉の場で、労契法18条所定の無期転換の申込みがあったところでXらが正社員になるわけではない旨の考え方を説明し、事務折衝の場でも、変更後の契約社員就業規則が適用されること、同規則の内容、労契法18条の解釈等について説明した。Xらは、上記団体交渉等を経た後、何ら異議をとどめることなく、Y社に対し、Y社の説明に沿った内容の無期パート雇用契約書にそれぞれ署名押印して提出し、Y社との間で同契約を締結した。
したがって、Xらは、契約社員就業規則を適用することに合意した。
(イ)Xらは、無期パート雇用契約書のうち、契約社員就業規則が適用されるという部分は錯誤により無効であると主張するが、同契約書の記載は平易で、大部にわたるものではなく、無期転換前にY社とXらとの間で用いられてきた書式と大差がないものであって、Xらは、同契約書の内容を十分に理解した上で署名押印し、Y社に提出したというべきである。
仮にXらに錯誤があったにせよ、Xらは、無期パート雇用契約書に正社員とはしないことが記載されていることを認識しながら、敢えて署名押印して提出したというのであるから、重大な過失によるものということができ、錯誤無効を主張することはできない。
(ウ)さらに、Xらが労働協約と主張する書面には、Xらの労働条件に関する具体的な定めはなく、無期パート雇用契約書が「労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約」(労組法16条)であるとも言えない。

争点3 無期転換後の労働条件に関し、正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たるか

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
労働契約法第18条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

(Xらの主張)

無期パート雇用契約書に基づく意思表示が無効であること、契約社員就業規則がXらに適用されないことは、争点2(Xらの主張)のとおりであり、労契法18条1項第2文の「別段の定め」として残るのは正社員就業規則(4条2項を除く。)のみである。

(Y社の主張)

ア Y社において、契約社員就業規則と正社員就業規則は、別個独立のものとして区分されており、Xらには、無期転換する前まで、契約社員就業規則が適用されてきた。
契約社員就業規則には、無期転換後のXらがその適用対象であること、正社員となるにはY社との間で登用の合意が必要であることが明確にされており、正社員就業規則に、無期転換後のXらを正社員として取り扱う旨の規定はない。
したがって、無期転換後のXらの労働条件について、正社員就業規則を労契法18条1項第2文の「別段の定め」とみる余地はない。

イ Xらは、Xらに契約社員就業規則を適用することは合意原則(労契法1条、3条1項、6条)に違反する旨主張するが、XらとY社との間で契約社員就業規則を適用する合意があることは、争点2(Y社の主張)のとおりであり、契約社員就業規則をXらに適用する方が合意原則に合致している。

ウ Xらは、Xらに契約社員就業規則を適用することは均衡考慮の原則(労契法3条2項)及び信義則(労契法4条)に違反し、労契法7条の合理性の要件を満たさない旨主張するが、かかるXらの主張は、前訴最判で退けられた主張と実質的に同じであり、失当である。

エ Xらは、無期契約社員規定の追加について、実質的に労働条件の不利益変更に当たり、労契法10条の類推適用により無効である旨主張するが、無期契約社員規定は、労契法18条1項を確認的、注意的に定めたにすぎず、就業規則の不利益変更に当たらない。
仮に、無期契約社員規定の追加が就業規則の不利益変更に当たるとしても、争点2(Y社の主張)のとおり、Xらは無期契約社員規定が追加された契約社員就業規則が適用されることを明示的に承諾した。
また、無期契約社員規定の追加が就業規則の不利益変更に当たり、Xらがこれに反対していたとしても、無期契約社員規定は、労働者の既得権を奪うものでも、労働条件そのものを切り下げるものでもなく、労働者の不利益はないに等しい上、かかる変更は、労契法18条に基づく無期転換を見越した必要かつ相当なものであり、組合とも交渉し、従業員に周知しているから、合理的な就業規則の変更に当たり、労契法10条によりXらにも適用される。

3.判決の概要

争点1 本案前の答弁(本件訴えの提起は信義則に反するか)

前提事実、弁論の全趣旨及び当裁判所に顕著な事実によれば、前訴は、X1とY社との間で、有期の契約社員と正社員との労働条件の相違が労契法20条に違反する場合、当該有期の契約社員の労働条件が正社員の労働条件と同一のものとなるかが争われた事案であるのに対し、本件訴訟は、XらとY社との間で、労契法18条に基づく無期転換後の無期契約社員の労働条件が正社員の労働条件と同一のものとなるかが争われた事案であることが認められる。
そうすると、本件訴訟は、前訴と争点を異にするものであるから、本件訴訟における原告らの主張に前訴におけるX1の主張と類似の趣旨のものがあったとしても、本件訴訟が前訴における紛争の実質的な蒸し返しに当たるということはできない。
したがって、原告らの訴えの却下を求める被告の主張は採用できない。

争点2 無期転換後の労働条件に関し、正社員就業規則による旨の合意の有無

ア Xらは、遅くとも平成30年10月26日の団体交渉時までに、無期転換後の無期パート雇用契約書及び契約社員就業規則のうち無期契約社員規定が無効となる場合には無期転換後のXらに正社員就業規則が適用されることについて、Y社との間で黙示の合意があった旨主張する。
しかし、Y社は、一貫して、無期転換後の無期契約社員が正社員になるとは考えておらず、正社員就業規則が適用されるものではない旨回答しているのであって、無期パート雇用契約書及び契約社員就業規則の無期契約社員規定が無効となる場合には正社員就業規則が適用されるといったXらの考えをY社が了解したと認めるに足る事情は何ら存在しない。

イ かえって、Xらは、Y社の回答が上記のとおりであることを認識した上で、無期転換後の労働条件は契約社員就業規則による旨が明記された無期パート雇用契約書に署名押印してY社に提出しており、XらとY社との間には、無期転換後も契約社員就業規則が適用されることについて明示の合意があるというべきである。
この点、Xらは、上記雇用契約書のうち契約社員就業規則が適用されるという部分について、Xらには形式的なものと誤信した錯誤があるから無効であり、また本件組合との合意に反するから労組法16条により無効であると主張する。
しかし、Xらは、団体交渉を通じて、Y社が無期転換後のXらに契約社員就業規則が適用されると考えていることを十分認識していたと解されるのみならず、上記雇用契約書が、無期転換後の労働条件についてY社の上記考えを反映したものであることは文言上明らかであって、これを形式的なものと誤信して署名押印したとのXらの主張は採用し難い(なお、Xらの主張を心裡留保による無効をいう趣旨と解しても、Xらの主張を採用し難いことに変わりはない。)。
また、前記認定事実によれば、Y社と本件組合との合意は、Xらの労働条件やその待遇に関する基準を定めたものではないことは明らかであるから、上記雇用契約書について労組法16条違反をいうXらの主張も採用の限りでない。

合意の内容
(ア)被告と本件組合は、平成24年1月20日、団体交渉により合意をみた下記の内容について双方誠実に履行することを確約する旨の協定書を作成した。
               
1 被告は、組合員に影響を与える問題(身分・賃金・労働条件等)について、事前に本件組合と協議を行い、合意を得られるよう努める。

(イ)被告と本件組合は、平成28年2月10日、中労委平成27年(不再)第18号事件に関し、中央労働委員会からの和解勧告を受諾し、下記の和解をした。
    
3 被告と本件組合は、(・・・中略・・・)、組合員に影響を与える問題(身分・賃金・労働条件等)について、事前に協議を行い、でき得る限り合意に至るよう努める。

(基準の効力)
労働組合法第16条 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。


ウ 以上によれば、無期転換後の労働条件に関し、正社員就業規則による旨の合意があったとするXらの主張は採用できない。

争点3 無期転換後の労働条件に関し、正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たるか

(1)Xは、無期転換後の無期パート雇用契約書に基づく意思表示及び無期契約社員規定を追加した契約社員就業規則は無効であるから、残る正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たる旨主張する。

ア しかし、上記雇用契約書に基づく意思表示が無効でないことは、争点2で認定・説示したとおりである。

イ 次に、契約社員就業規則について、Xらは、これを無期転換後のXらに適用することは合意原則(労契法1条、3条1項、6条)に違反する旨主張する。
しかし、無期転換後に契約社員就業規則が適用されることについて合意があったと認められることは、争点2で認定・説示したとおりであり、Xらの上記主張は採用できない。

ウ また、Xらは、無期転換後のXらに契約社員就業規則を適用することは、正社員より明らかに不利な労働条件を設定するものとして、均衡考慮の原則(労契法3条2項)及び信義則(同条4項)に違反し、合理性の要件(同法7条)を欠く旨主張する。
しかし、証拠及び当裁判所に顕著な前訴最判によれば、Y社において、有期の契約社員と正社員とで職務の内容に違いはないものの、職務の内容及び配置の変更の範囲に関しては、正社員は、出向を含む全国規模の広域異動の可能性があるほか、等級役職制度が設けられており、職務遂行能力に見合う等級役職への格付けを通じて、将来、Y社の中核を担う人材として登用される可能性があるのに対し、有期の契約社員は、就業場所の変更や出向は予定されておらず、将来、そのような人材として登用されることも予定されていないという違いがあることが認められる。
そして、無期転換の前と後でXらの勤務場所や賃金の定めについて変わるところはないことが認められ、他方で本件全証拠によっても、Y社が無期転換後のXらに正社員と同様の就業場所の変更や出向及び人材登用を予定していると認めるに足りない。
したがって、無期転換後のXらと正社員との間にも、職務の内容及び配置の変更の範囲に関し、有期の契約社員と正社員との間と同様の違いがあるということができる。
そして、無期転換後のXらと正社員との労働条件の相違も、両者の職務の内容及び配置の変更の範囲等の就業の実態に応じた均衡が保たれている限り、労契法7条の合理性の要件を満たしているということができる。
この点、Xらは、無期転換後のXらと正社員との間に職務内容及び配置の変更の範囲等の就業の実態に関して違いがないことを前提に、無期転換後のXらに契約社員就業規則を適用することの違法をいうが、前提を異にするものとして採用できない。
なお、無期転換後のXらと正社員との労働条件の相違が両者の就業実態と均衡を欠き労契法3条2項、4項、7条に違反すると解された場合であっても、契約社員就業規則の上記各条項に違反する部分がXらに適用されないというにすぎず、Xらに正社員就業規則が適用されることになると解することはできない。すなわち、上記部分の契約解釈として正社員就業規則が参照されることがありうるとしても、上記各条項の文言及びY社において正社員就業規則契約社員就業規則が別個独立のものとして作成されていることを踏まえると、上記各条項の効力として、Xらに正社員就業規則が適用されることになると解することはできない。

エ さらに、Xらは、無期契約社員規定の追加により無期転換後のXらに契約社員就業規則を適用することは、無期転換後は正社員としての地位を得るとのXらの合理的期待を侵害し、労働条件の実質的な不利益変更に当たるから、労契法10条の類推適用(なお、無期契約社員規定は、Xらの無期転換前から実施されている。)により無効である旨主張する。
しかしながら、そもそも労契法18条は、期間の定めのある労働契約を締結している労働者の雇用の安定化を図るべく、無期転換により契約期間の定めをなくすことができる旨を定めたものであって、無期転換後の契約内容を正社員と同一にすることを当然に想定したものではない。
そして、無期契約社員規定は、労契法18条1項第2文と同旨のことを定めたにすぎず、無期転換後のXらに転換前と同じく契約社員就業規則が適用されることによって、無期転換の前後を通じて期間の定めを除きXらの労働条件に変わりはないから、無期契約社員規定の追加は何ら不利益変更に当たらない。
なお、Xらは、X1については採用の際に半年か1年後に正社員にするとの約束をY社から取り付けており、無期契約社員規定の追加はかかる合理的期待を侵害するとも主張する。
確かに、X1の採用時に正社員として採用されることを望む同人に対して、Y社E支店長が社員ドライバーにすることは約束するが、直ぐにというわけにはいかず、約半年から1年間程度は待って欲しい旨の発言をしたことは認定したとおりである。
しかし、証拠及び弁論の全趣旨によれば、その後に取り交わされた雇用契約書には、半年ないし1年後に正社員として登用する旨の記載はなく、約10年間にわたり、有期の契約社員として契約の更新が繰り返されてきたことが認められる。
そうすると、採用時の上記やりとりは、契約社員就業規則に、有期の契約社員のうち、特に勤務成績が良好な者は選考の上、正社員に登用することがあると規定されていることを踏まえて、X1についても、将来正社員として登用される可能性があることを説明したにすぎないと解するのが相当であり、採用時の上記やりとりをもってX1に正社員となることについての合理的期待があったとまではいえない。
よって、無期契約社員規定の追加が労働条件の実質的な不利益変更に当たるとのXらの主張は採用できない。
(2)以上のとおり、正社員就業規則が労契法18条1項第2文の「別段の定め」に当たるとのXらの主張は、いずれも理由がない。

3.解説

①無期転換後のパートタイム・有期雇用労働法8条(旧労働契約法20条)の適用
フルタイムの有期雇用労働者はパートタイム・有期雇用労働法の対象となり、同法8条による均衡待遇の適用を受けますが、無期転換したフルタイムの従業員は同法の対象とはならないため、同条による均衡待遇は問題となりません。
本判決でも、最高裁判所による判決(平成30年6月1日ハマキョウレックス事件)は、有期の契約社員と正社員との労働条件の相違が労契法20条に違反する場合で、本件は労働契約法18条に基づく無期転換後の無期契約社員の労働条件が正社員の労働条件と同一のものとなるかが争われた事案であるとして、前訴における紛争の実質的な蒸し返しに当たるというY社の主張を斥けており、この点を明確にしています。
なお、フルタイムの有期雇用労働者を無期転換させれば、ガイドライン違反を理由とする労働基準監督署都道府県労働局からの指導等の対象からは外れると考えられますが、同一価値労働同一賃金を考慮しなくても良いというわけではなく、民法公序良俗や労働契約法3条2項「労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」等により、民事訴訟にはなり得ますのでご注意ください。

②無期転換後に適用される就業規則
労働契約法18条1項第2文により、無期転換した従業員の労働条件は「別段の定め」がない限り、期間の定め以外は無期転換前と同一となります。
本件においては、「無期転換後の労働条件は契約社員就業規則による旨が明記された無期パート雇用契約書に署名押印してY社に提出しており、XらとY社との間には、無期転換後も契約社員就業規則が適用されることについて明示の合意がある」として、正社員就業規則が「別段の定め」に該当するというXらの主張を斥けています。
実務上も参考にすべきところで、本人が無期転換すれば正社員になると勘違いしているケースもあり、転換の申し出があった際には、誤解のないように本人に説明するとともに、本件のように雇用契約書に、転換後に適用される就業規則や労働条件を明記して、本人の署名捺印をもらっておくことが有用であると考えます。

また、私が実際に何度か目にしたことがありますが、就業規則の適用対象外となる従業員として、
 ①雇用契約に期間の定めがある者
 ②所定労働時間または所定労働日数が正規の従業員より短い者
が定められており、それ以外の従業員は就業規則が適用となっている場合、フルタイムの有期雇用従業員が無期転換すると、就業規則が「別段の定め」となり、正社員と同じ労働条件になると判断される可能性がありますのでご注意ください。

上記の場合でしたら、
 ③無期転換した者
という号を追加しておくべきですね。
また、契約社員就業規則の方にも、無期転換後は、契約期間を除き、契約社員就業規則が適用される旨を明記しておくべきです。

新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例等

新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例等

新型コロナウイルスの影響によりシフトが減少したことにより離職した方の取扱いについて公表されました。
※シフト制労働者とは、「勤務日数や時間がシフトにより決定される労働者」のことをいいます。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000766032.pdf

1.労働契約に具体的な就労日数等の定めがある場合

シフト制労働者で、例えば、以下に該当する方は「特定理由離職者」または「特定受給資格者」として認められる場合があります。
●具体的な就労日数が労働条件として明示されている一方で、シフトを減らされた場合
●契約更新時に従前の労働条件からシフトを減らした労働条件を提示されたため、更新を希望せずに離職した場合

特定理由離職者や特定受給資格者の範囲や基準を公表しておりますので、ご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000371608.pdf

2.1以外でシフトの減少により週の労働時間が20時間を下回ることとなる場合

令和3年3月31日以降に、以下の理由により離職した方は「特定理由離職者」として、雇用保険求職者給付の給付制限を受けないこととしました。
●シフト制労働者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響により、シフトが減少し(労働者が希望して減少した場合は除きます。)、
概ね1か月以上の期間、労働時間が週20時間を下回った、または下回ることが明らかになったことにより離職した場合

3.特定受給資格者及び特定理由離職者とは

特定受給資格者とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者(具体的には以下の「特定受給資格者の範囲」に該当する方)であり、一方、特定理由離職者とは、特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した者(具体的には以下の「特定理由離職者の範囲」に該当する方)であり、これに該当した場合、

① 失業等給付(基本手当)の受給資格を得るには、通常、被保険者期間が 12 か月以上(離職以前 2 年間)必要ですが、被保険者期間が 12 か月以上(離職以前 2 年間)なくても 6 か月(離職以前1年間)以上あれば受給資格を得ることができます。

② 失業等給付(基本手当)の所定給付日数が手厚くなる場合があります(注)。
(注) 受給資格に係る離職理由、年齢、被保険者であった期間(加入期間)に基づき基本手当の所定給付日数が決定されることになります。特定受給資格者又は特定理由離職者に該当する場合でも、被保険者であった期間(加入期間)が短い場合など、それ以外の通常の離職者と所定給付日数が変わらないことがあります。

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新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金Q&A【大企業(中小事業主以外の事業主)に雇用される労働者向け】

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金Q&A【大企業(中小事業主以外の事業主)に雇用される労働者向け】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000765719.pdf

【①制度概要】

1.支援金・給付金とはどのような制度ですか。

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により中小事業主に雇用される労働者が事業主の指示により休業し休業中に休業手当を受けることができない場合に休業前賃金の一部に相当する金額を支給するものです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に係る対応が長期化する中で、雇用維持の支援策をさらに強化する必要があることから、緊急事態宣言や都道府県ごとの時短要請の影響が大きい時期の休業について、中小事業主以外の事業主に雇用されるシフト労働者等についても対象となりました。

2.支援金・給付金は労働者個人に支給されるものですか。

→労働者個人に支給されるものです。

【②対象労働者、対象事業主】

1.支援金・給付金の対象者の範囲はどうなりますか。

→中小事業主以外の事業主に雇用されるシフト労働者等(※)であって、事業主が休業させ、当該休業に対して賃金(休業手当)を受け取っていない方が対象となります。
※労働契約上、労働日が明確でない方(シフト制、日々雇用、登録型派遣)。なお、シフト制は、労働条件通知書に「シフトによる」などの記載のみで具体的な労働日や時間の記載がない場合や、「週○日勤務」などと記載されているが具体的な曜日や時間の記載などがない場合で、一定の期間ごとに労働日が調整され確定する(例えば毎月末に、翌月のシフト表が示されるなど)といったものが該当します。

2.学生アルバイトは対象となりますか。

雇用保険に加入していない昼間学生のアルバイトの方であっても、給付金の対象となります。

3.外国人や技能実習生は対象となりますか。

→国籍を問わず、日本国内で働く労働者であれば対象となります。技能実習生も実習先と労働契約を結んでいることから対象となります。

4.海外勤務者は対象となりますか。

→「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例に関する法律」が適用される日本国内で働く労働者のみが対象となります。

5.フリーランスでの仕事が休業状態です。支援金・給付金の対象になりますか。

→休業の前提となる雇用関係がないフリーランスの方は対象とはなりません。なお、フリーランスでの仕事のほかに、上記1に該当する労働者としても雇用されている場合は、当該雇用に係る休業が支援金・給付金の要件を満たせば支給の対象となります。

6.地方公共団体の非常勤公務員は対象となりますか。

→国、地方公共団体、行政執行法人、特定地方独立行政法人で働く方は対象とはなりません。ただし、地方公営企業雇用保険被保険者の方は対象となります。

7.新たに雇い入れられたばかりですが、対象となりますか。

→令和2年4月1日以降に新たに雇い入れられた労働者については、雇入れ日から当該日の属する月の翌月末(雇い入れ日が月の初日の場合は当該月末)までの間の休業は対象となりませんが、それ以降であれば対象となります。ただし、休業前賃金が全くない場合は支給対象とはなりません。
(例えば、4月15日採用の方であれば、6月1日以降が対象となります。)

8.新卒として4月から採用されましたが、対象となりますか。

→新規学卒者等(新たに学校若しくは専修学校を卒業した方若しくは新たに公共職業能力開発施設若しくは職業能力開発総合大学校の行う職業訓練を修了した方又はこれに準ずる方)については、上記7にかかわらず、入社時期が繰り下げられた結果、1日も勤務していなかったとしても、対象となります。この場合の休業前賃金の算定は④7を参照ください。

9.事業主が休業者以外の労働者を解雇している場合でも支援金・給付金は受けられますか。

→事業主が他の労働者を解雇しているかどうかは支援金・給付金の要件とは関係ありません。

10.○○の事業を行っている事業所で働いていますが、支援金・給付金の対象となりますか。

→対象となる産業に限定はありません。

11.休業していた事業所を既に離職しています。その場合でも支援金・給付金の対象になりますか。また、雇用保険の基本手当を受給していますが対象になりますか。

雇用保険の基本手当を受給している期間中は支援金・給付金の対象にはなりません。
一方で、休業後に当該事業所を離職し、雇用保険の基本手当を受給している場合であっても、離職前休業期間中の支援金・給付金を申請することは可能です。

12.中小事業主の範囲はどうなりますか。

→休業開始時点で、原則として、次の表の「資本金の額・出資の総額」か「常時雇用する労働者の数」のいずれかを満たす企業が「中小事業主」に該当します。
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13.事業主が労働保険料の未納や労働関係法令違反をしています。この場合、支援金・給付金は受けられますか。

→事業主の労働保険料の未納や労働関係法令違反により、支援金・給付金が受けられなくなることはありません。ただし、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員、破壊活動防止法の暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れがある団体等に所属している者に対しては支援金・給付金の支給は行いません。

【③対象となる休業】

1.支援金・給付金の対象となる休業について教えてください。

→支援金・給付金の「休業」とは、事業主の指示により所定労働日に労働者を休ませるものをいい、申請に当たっては、事業主の指示により労働者を休業させていることを確認します。
また、疾病、育児、介護、母性健康管理措置、教育訓練など労働者本人の事情による休みや年次有給休暇は、支援金・給付金の「休業」ではありませんので、申請に当たっては、申請を行う労働者の方からこれらに該当する日数を申告していただきます。

2.事業主の指示により休業していることをどのように確認するのでしょうか。

→申請に当たって、事業主が当該労働者を休業させており、休業手当の支払いを行っていないことを証明していただくこととなります。具体的には労使共同で「支給要件確認書」を作成していただくことにより確認することとなります。

3.シフト制で働いています。事業主から、新型コロナウイルス感染症がなければシフトを入れる予定であったが、シフトが決まる前に休業に入ったので、申請できないのではないか。また、申請すると不正受給になるのではないか心配だと言われました。申請できますか。

→シフトが入らない状態が休業に当たるか否かは、前提となる労働契約の内容によりますが、この休業の前提となる労働契約は、労働者と事業主との合意によりその内容が決定されます。このことを簡便に確認するため、支給要件確認書を事業主にも記載していただくことにしています。
したがって、雇用調整助成金と同様に、労働基準法上の休業手当支払義務の有無にかかわらず、労働条件通知書等のほか休業前の就労の実態なども踏まえて、労働者と事業主双方において事業主の指示で休業したと認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば、支援金・給付金の対象となる休業として申請することが可能です。(事業主が協力してくれない場合の対応は7を御覧ください。)
また、支援金・給付金の不正受給とは、申請書類に故意に虚偽の記入を行ったり、偽りの証明を行うことをいうので、例えば、新型コロナウイルス感染症と関係なく申請対象期間に就労する予定がなかった、そもそも労働契約を結ぶ意図がなかった等の事情にかかわらず、労働者と事業主で労働契約があったと偽装して受給するような場合がこれに当たります。
なお、シフトが作成されていない場合における労働日の有無など、労働契約に関するご相談は、各都道府県労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーにご相談ください。

4.労働者から休業支援金の支給要件確認書の記載を求められています。事業主の記載欄に休業手当を支払っているかどうかを確認する欄がありますが、「休業手当を支払っていない」と回答した場合、ただちに労働基準法違反となるのでしょうか。

→休業支援金は、事業主の指示により休業しており、休業手当を受け取ることができない方を対象とした制度です。
この制度の対象となるかを確認するために、支給要件確認書において事業主に休業手当の支払いの有無を記載していただく欄を設けています。
労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされていますが、使用者の責に帰すべき事由による休業に当たるか否かは、個別の事案ごとに、休業の原因や、使用者の休業回避努力の状況などを総合的に勘案し判断されます。
※支給要件確認書における、使用者の「休業手当を払っていない」旨の記述や、労働者の「休業手当の支払を受けていない」旨の記述は、労働基準法第26条の休業手当の支払義務の有無の判断に影響することはありません。
労働基準法第26条の休業手当の支払義務が認められる事案においては、雇用する労働者が休業支援金を受給した場合でも、それによって同条の休業手当の支払義務は免除されないことにもご留意ください。
労働基準法上の休業手当については上述のとおりですが、労働基準法の休業手当の支払義務の有無にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、事業主が支払った休業手当の額に応じて支払われる雇用調整助成金があり、助成率や上限額の引上げ等を実施しているところです。
これを活用することにより、事業主の皆様は、高率で休業手当を支払うことも可能であり、また、労働基準法の休業手当支払義務がある場合でも義務を履行できますので、まずは雇用調整助成金を最大限ご活用いただき、労働者に休業手当の支払をお願いいたします。

5.事業主に「シフト制なのだから(日々雇用なのだから)、休業させたのではなく就労日がなかった。」と言われ、支給要件確認書を作成してくれませんでした(休業を認めてくれませんでした)。支給対象となりませんか。

→支給要件確認書で休業の事実が確認できない場合でも、
①申請対象月のシフト表が出ている等により当該月の勤務予定が定まっていた場合(労働条件通知書などで「週○日勤務」などとのみ記載されているタイプのシフト制の方については、具体的な曜日や時間帯がまだ決まっていない状態も含みます)であって、事業主に対して、その内容に誤りがないことが確認できる場合
②休業開始月前の給与明細等により、「6か月以上の間、原則として月4日以上の勤務」(※)がある事実が確認可能な場合で、かつ、事業主に対して、新型コロナウイルス感染症の影響がなければ申請対象月において同様の勤務を続けさせていた意向が確認できる場合(ただし、新型コロナウイルス感染症の影響以外に休業に至った事情がある場合はこの限りではありません。)
には、休業支援金の対象となる「休業」があったものとして取り扱います。
上記①、②の確認のため、労働条件通知書や給与明細、賃金台帳等の関係資料の提出を依頼することがありますので、ご協力ください。

なお、既に雇用関係が終了していること(日々雇用の場合にあっては以降の雇用が見込まれないこと)が客観的な資料で確認できる場合や、倒産等により勤務の継続が不可能であることがあきらかである場合は「休業」にはあたりません。
※原則、休業開始月前の直近6か月間で判断しますが、令和2年4月~6月の休業を申請しない場合であって、9②の期間を初回申請する場合には、休業開始月の直近6か月で月4日以上の勤務が確認できない場合であっても、令和2年3月以前の6か月間に月4日以上の勤務が確認できる場合はこの基準を満たすものと取り扱います。
令和2年4~6月の休業と、9②の期間を申請する場合については、令和2年4~6月からの休業前の直近6か月で判断しますので、両期間の間の期間も休業していたために当該間の期間中の勤務が確認できない場合であっても、9②の期間についてもこの基準を満たすものとして取り扱います。

6.登録型派遣で、派遣先の都合で派遣契約が解除されてしまった場合は、休業支援金の対象となる「休業」に該当しますか。

→派遣元事業主の指示により休業しており、休業中に休業手当が受けられない労働者であれば、対象となります。派遣契約が終了しても、派遣元事業主が労働契約を継続させた上で労働者を休業させ、休業手当を支払っていない場合には、対象となります。

7.事業主の支給要件確認書への記載は絶対に必要でしょうか。協力してくれない場合、個人からのみの申請は可能でしょうか。

→労働者の雇用、賃金支払いの事実や休業させていることの事実については、労働者からの申出のみで判断することは適当ではなく、この点について最低限事業主からの確認が必要です。
仮に労働者が事業主に申し出たにもかかわらず、事業主が支給要件確認書への記載を拒むようなケースが生じた場合は、支給要件確認書の「事業主記入欄」の「事業主名」の部分に、事業主の協力が得られない旨を、事業主の主張その他関連する事情とともに記載の上、申請してください。その場合、労働局から事業主に対して報告を求めます。
この場合は、事業主から回答があるまでは審査ができないこととなり、その分申請から支給までに時間を要しますので予めご承知おきください。

8.休業支援金の申請に当たって、事業主に協力が得られない旨などを記載した上で申請をしたところ、事業主から解雇や雇い止め、シフトの減少をされそうになった場合、どうすればよいでしょうか。

→会社が解雇や雇止めなどをしようとする場合でも、労働関係法令などにより、以下のような決まりがあります。
①無期労働契約の解雇については、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効とされており(労働契約法第16条)、有期労働契約の契約期間途中の解雇については、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇することができません(労働契約法第17条)。
②また、有期労働契約における雇止めについても、反復更新された有期労働契約であって、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合等については、使用者は従前の労働条件と同一の条件で労働者からの申込みを承諾したものとみなすとされています(労働契約法第19条)
※休業支援金の申請をしたことのみを理由として、解雇や雇止めなどを行った場合、労働契約法第16条に照らし無効となる場合等があり得ます。
③さらに、労働条件の変更については、労働契約の見直しにより行う場合には労働者の合意が必要であり、就業規則の変更により労働条件を労働者の不利益に変更する場合には、労働者の合意又は当該変更に係る事情に照らして合理的なものとである必要があります(労働契約法第8条~第10条)
解雇や雇止めなどに関するご質問やご相談については、最寄りの労働局・労働基準監督署のほか、「新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口」や、「労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)」などをご利用ください。

9.対象となる休業はいつからいつまで対象になりますか。

→対象となる休業の期間は以下のとおりです。
①令和2年4月1日から同年6月30日
②令和3年1月8日(令和2年11月7日以降に時短要請等を発令した都道府県は以下の表の日)から緊急事態宣言(令和3年1月7日にされたものに限る。)に係る緊急事態解除宣言の翌月の末日(当該緊急事態解除宣言が令和3年2月中にされた場合にあっては、同年4月30日)
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※記載のない県は令和3年1月8日より前に要請が行われていないため、対象期間は①の期間を除き、令和3年1月8日以降となります。
厚生労働省において都道府県のHP等で時短要請等の取組を確認の上、一覧化したもの

10.週5日から週3日のシフトになる場合など、月の一部分の休業は支援金・給付金の対象となるのでしょうか。

→対象となりますが、具体的な支援金・給付金の計算に当たっては、就業した実績に応じて算定することとなります。(⑤支援金・給付金の項目をご参照ください)

11.1日8時間から3時間の勤務になる場合など、短時間休業も支援金・給付金の対象となりますか。

→対象となりますが、具体的な支援金・給付金の計算に当たっては、就業した実績に応じて算定することとなります。(⑤支援金・給付金の項目をご参照ください)

12.雇用保険被保険者としてA事業所で働いているほか、B事業所で雇用保険被保険者とならない副業をしています。A事業所では引き続き勤務していますが、B事業所が休業となり、休業手当を受けられない場合、B事業所の休業に対する給付金は受けられるのでしょうか。

雇用保険被保険者とならないB事業所での副業についても給付金の対象となります。

13.初回申請時は全休業でしたが、途中から事業所の指示で何日か勤務しました。その場合、支援金・給付金が受けられなくなるのでしょうか。

→全体として休業が引き続いている場合は、何日か就労した場合でも当該就労した日を除いて支援金・給付金が受けられます。

14.職場で新型コロナウイルスの感染者が出たことから、休業となりました。対象となりますか。

→職場内で新型コロナウイルスの感染者が発生し、感染拡大防止の観点から、事業主が休業を行った場合(事業主の指示による休業の場合)、感染者以外の方は支援金・給付金の対象となりますが、患者本人の休業は支援金・給付金の対象外となります。

15.新型コロナウイルス感染症の影響により店舗が入居しているショッピングセンター等の施設全体が休館して休業となった場合でも対象となりますか。

→外的な事業運営環境の変化に起因する休業であっても、支援金・給付金の対象となる休業に該当します。

【④休業前賃金】

1.給付額の算定対象となる休業前賃金には何が含まれますか。税引き前の総支給額ですか。

→賃金とは、月ごとの給与の総支給額(税・社会保険料控除前の基本給と残業手当などの諸手当の合計。ただし、賞与は除きます。)をいいます。

2.休業前賃金日額はどのように算定されるのでしょうか。

→原則として、過去6か月のうち任意の3か月分の賃金を90で除して算定します。「休業前」の賃金とは休業を開始した月より前に実際に支払われた賃金を指します。例えば、4月からの休業であれば、3月以前に実際に支払われた賃金が休業前の賃金となります(例1)。
ただし、雇入れ日と賃金支払い日の関係で休業を開始した月より前に支払われた賃金がない場合は休業を開始した月に支払われた賃金で算定します(例2)。
これらについては、申請書に記載していただくとともに、賃金台帳や申請者の給与明細により確認させていただきます。

(例1)
●令和2年4月10日から休業
●給料(3月:30万円、2月:25万円、1月:28万円、12月:26万円)
※下線の3か月を選択
●(30万+28万+26万)÷90日=9,333円・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。

(例2)
●令和2年3月1日付採用、賃金は末日〆、翌月15日払い
●令和2年4月10日から休業
●休業前(3月以前)に支払われた賃金がない→(4月:20万円)
※休業前の労働の対価として支払われた4月支給額で算定
●20万円÷30日=6,666円・・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。

3.令和3年1月からの休業を申請予定ですが、直前の6か月(7月~12月)も新型コロナウイルス感染症の影響により仕事がありませんでした。その場合、休業前賃金が算定できないことから対象外となってしまうのでしょうか。

→令和2年4月~6月の休業を申請しない場合であって、【③対象となる休業】9②の期間を初回申請する場合には、特例的に休業開始月の直前6か月ではなく、令和元年10月から申請開始月の前月までの期間から任意の3か月分の賃金を90で除して算定することとします。

(例)
●令和3年1月8日から休業
●給料(令和2年6月~12月まで賃金なし、5月:15万円、4月:17万円、
3月:12万円、2月:18万円、1月:20万円、12月:15万円)
※下線の3か月を選択
●(17万+18万+20万)÷90日=6,111円・・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。

4.休業前に3か月分の賃金の支払を受けていない場合はどのように算定することになりますか。

→3か月分の賃金の支払がない場合は、2か月分の賃金を60で除して算定し、2か月分の賃金の支払もない場合は、1か月分の賃金を30で除して算定することになります。
なお、日割り等により1か月分に満たない賃金の支払しかない場合であっても、算定の対象となりますが、1か月分の賃金がある場合と同様の算定方法(30で除して算定)となります。

5.休業前の賃金を証明する書類は何を用意すればよいですか。

→休業前賃金を確認できる書類は、①賃金台帳、②給与明細、③賃金の振込通帳の3種類となります。

6.賃金の証明ができる資料が振込通帳しかありません。その場合、各種控除前の金額で賃金日額の算定をしてもらえるのでしょうか。

→各種控除前の金額が不明の場合、控除後の金額で給付額を算定することとなります。なるべく事業主に協力していただき、賃金台帳により休業前賃金の証明を提出していただくようお願いします。
なお、一度支給決定した後に休業前賃金を変更することはできませんのでご留意ください。

7.休業前賃金を証明する書類が何もありません。

→客観的資料により賃金額を確認できない場合は支給を行うことはできません。事業主に協力していただき、休業前賃金の証明を提出していただくようお願いします。

8.新卒で入社したばかり(休業前に内定を受けており、入社日時点で既に休業しているケースも含む。)の場合、賃金額はどのように証明すれば良いでしょうか。

→新規学卒者の場合、入社時期が繰り下げられた結果、1日も勤務していなかったとしても、対象となります。その場合、予定されていた給与額で算定することとなりますので、雇用契約書・労働条件通知書等の賃金額が分かる書類を添付してください。

【⑤支援金・給付金】

1.支援金・給付金の給付額がいくら支給されるのか知りたいのですが。

→原則として、上記④2・3により算定された休業前賃金日額の8割(支援金・給付金日額。日額上限11,000円。ただし、令和2年4月~6月の休業については6割)に休業期間の日数を乗じて得た額が支給されます。当該休業期間中に就労等(申請の対象となる事業所での就労等に限ります。)した場合、就労等日数(4時間以上の就労等であれば1日、4時間未満の就労等であれば0.5日)を当該日数から減じて算出します。
ただし、4時間未満の就労等であっても、所定労働時間が4時間未満の場合に、所定労働時間どおりに就労等している場合は1日としてカウントします。(例えば、所定労働時間が3時間の場合で、3時間就労等した場合は1日としてカウント。2時間就労等し、1時間休業の場合は0.5日としてカウント)

(例1:全期間休業しており、就労等していない場合)
●休業前賃金日額:9,333円(上記④2(例1)のケース)
→支援金・給付金日額:9,333円×0.8=7,466円
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。
●5月1日~5月31日まで休業
→支給額:7,466円×31日=231,446円
※端数が生じた場合は小数点以下切り捨てとなります。
(支給申請書8~11欄の記載)
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(例2:休業中に数日就労等した場合)
● 休業前賃金日額:9,333 円(上記④2(例1)のケース)
→ 支援金・給付金日額:9,333 円×0.8=7,466 円
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。
● 5 月1 日~5 月31 日まで休業、10 日と14 日に6 時間(1日としてカウント)、
17 日に6 時間勤務のところ4時間休業し2時間だけ就労(0.5 日としてカウント)
→ 支給額:7,466 円×(31 日-2.5 日)=212,781 円
※端数が生じた場合は小数点以下切り捨てとなります。

(支給申請書8~11 欄の記載)
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(例3:所定労働時間が3時間の場合)
● 休業前賃金日額:6,666 円(上記④2(例2)のケース)
→ 支援金・給付金日額:6,666 円×0.8=5,332 円
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。
● 5 月1 日~5 月31 日まで休業、10 日と14 日に3時間(1日としてカウント)、
17 日に3時間勤務のところ1時間休業し2時間だけ就労(0.5 日としてカウント)
→ 支給額:5,332 円×(31 日-2.5 日)=151,962 円
※端数が生じた場合は小数点以下切り捨てとなります。

(支給申請書8~11 欄の記載)
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2.上記1の就労等には、実際に働いた場合以外に何が含まれるのですか。

年次有給休暇育児休業、介護休業、病気による欠勤などの本人の事情による休暇、休業、欠勤が含まれます。

3.支給要件確認書で指している「休業手当」とはどういうものですか。

→「賃金台帳、給与明細において休業手当と記載されているもの」、「休業日数に比例して支払われるもの」が「休業手当」となります。この「休業手当」が支払われている場合は支援金・給付金の対象にはなりません。

4.支給要件確認書で指している「見舞金」とはどういうものですか。【更新】

→上記3の休業手当に該当しないものは名称にかかわらず、月額3万円以下、かつ、休業前賃金以下であれば、支払われている場合でも支援金の対象となります。
なお、過去の労使交渉の結果の解決金など、新型コロナウイルス感染症の影響による休業とは無関係であり、賃金にも該当しないことが、労使双方による合意書等の客観的資料により確認することが可能である場合には、上記金額を超える場合であっても支援金の対象となります。この場合の申請に当たっては、こうした資料も合わせて添付いただくようお願いします。

5.休業手当として平均賃金の3割の金額が事業主から支払われています。この場合、支援金・給付金は受けられないのでしょうか。

→休業中に法定未満(6割未満)の休業手当を受けている場合も支援金・給付金の対象とはなりません。

6.休業当初は休業手当が支払われていましたが、途中から会社の経営状況が極度に悪化し休業手当が支払われなくなりました。休業手当が支払われなくなった日以降については支援金・給付金を受けられますか。

→事業主の指示により休業しており、休業中に賃金が受けられない労働者であれば、休業手当が支払われない期間について対象となります。

7.育児休業給付や傷病手当金を受けている間に事業所が休業しました。これらの給付を受けている場合は支援金・給付金の対象となりますか。

育児休業給付や傷病手当金を受けている場合、その休業の原因が事業主の指示による休業ではないことから、支援金・給付金の対象とはなりません。

8.学生支援緊急給付金を受け取っていますが、支援金・給付金は受給できますか。

→支援金・給付金は事業主の指示により休業し、休業中に賃金が受けられないことに着目した給付であり、学生支援緊急給付金とはその趣旨目的が異なることから、同給付金を受給している方も支援金・給付金の対象となります。

9.児童扶養手当を受給した場合、支援金・給付金は受給できますか。

→支援金・給付金は事業主の指示により休業し、休業中に賃金が受けられないことに着目した給付であり、児童扶養手当とはその趣旨目的が異なることから、同手当を受給している方も支援金・給付金の対象となります。

10.高年齢雇用継続給付を受けていますが、支援金・給付金は受給できますか。

→支援金・給付金は事業主の指示により休業し、休業中に賃金が受けられないことに着目した給付であり、高年齢雇用継続給付とはその趣旨目的が異なることから、同給付金を受給している方も支援金・給付金の対象となります。

11.フリーランスとアルバイトを兼業しています。フリーランスとして持続化給付金を受給した場合、アルバイトの休業に対して支援金・給付金は受給できますか。

→支援金・給付金は事業主の指示により休業し、休業中に賃金が受けられないことに着目した給付であり、フリーランスとしての収入の減少に対して支給される持続化給付金とはその趣旨目的が異なることから、同給付金を受給している方もアルバイトについて要件を満たす場合は支援金・給付金の対象となります。なお、②5もご参照ください。

12.支援金・給付金を受給した後で、事業主から対象期間中の休業に対する休業手当が支払われました。この場合、どうすればよいですか。

→支給要件確認書に記載してあるとおり、2週間以内に支給決定通知書に記載している都道府県労働局職業安定部へ申告してください。支給済みの支援金・給付金について返納していただくことになります。

13.支援金・給付金の税法上の位置づけはどうなるのでしょうか。

→支援金・給付金は非課税であるため、所得申告は不要です。

【⑥雇用調整助成金との関係】

1.事業所が全労働者を対象とした休業をしていますが、私には休業手当が支払われていません。一部の労働者には休業手当を支払い、雇用調整助成金を活用しています。この場合、私は支援金・給付金を受けられないのでしょうか。

→雇用されている事業所の雇用調整助成金の受給の有無にかかわらず、休業手当が支払われていない労働者は支援金・給付金の支給対象となります。

2.雇用調整助成金と支援金・給付金のどちらを利用したら良いですか。

→支援金・給付金は事業主の指示により休業しており、休業手当、賃金を受け取ることができない労働者の方の生活の安定及び保護の観点から直接申請が可能な制度として創設されたものです。一方、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合には、労働基準法上、休業手当の支払義務が生じることとなり、支援金・給付金の支払いにより、休業手当の支払義務が免除されるものではありません。
労働基準法上の休業手当の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、雇用調整助成金が、事業主が支払った休業手当の額に応じて支払われます。
こうしたことも踏まえ、事業主の皆様には、まずは雇用調整助成金を活用いただき、雇用維持が図られるよう努めていただくようお願いします。

雇用調整助成金新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

【⑦申請方法等】

1.申請方法について教えてください。

→郵送又はオンラインでの受付となります。なお、迅速な支給や、感染予防・3密回避等の観点から、窓口での申請は受け付けておりません。本Q&Aのほか、厚生労働省HPに資料を掲載しますのでご覧ください。また、相談受付についてはコールセンターを設置しています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター
電話番号:0120-221-276
月~金8:30~20:00/土日祝8:30~17:15

2.いつから申請が可能ですか。

→2月26日から郵送およびオンライン申請の受付を開始しました。

3.郵送申請はどこへ郵送すればよいですか。

→以下の宛先に郵送してください。郵送仕分け業者が申請書類の形式的な確認を行った上で、管轄都道府県労働局の支援金集中処理センターに振り分けます。その際、必須記載事項や添付書類の漏れがある場合、該当箇所を明示した上で、返戻させていただきますので、補正の上、再度郵送いただくようお願いいたします。
なお、厚生労働省HPに郵送申請のご案内を掲載しておりますので、ご確認いただき、郵送先にお間違いのないようお願いいたします。ハローワークや労働局、厚生労働省などに郵送された場合は受け付けられませんのでご注意下さい。

〒600-8799
日本郵便株式会社京都中央郵便局留置
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

4.郵送申請の支給申請書などの様式はどこでもらえますか。

→支援金・給付金の申請書や要件確認書などは、厚生労働省HPからダウンロード(Word又はPDF、一部Excel)できます。なお、申請書はA4サイズで印刷していただきますようお願いします。また、インターネットを閲覧することが難しい等の場合、ハローワークにおいても配布しています。

5.支給申請書の書き方は何を参考にしたらいいですか。

→申請書の裏面や申請書の記載例をご確認ください。また、申請書の記載例を厚生労働省HPに掲載しますのでご参照ください。
また、コールセンターも開設しておりますので活用ください。

6.支給申請書以外にどういった書類を提出する必要がありますか。

→初回申請時には、支給申請書および支給要件確認書のほか①運転免許証等の本人確認書類の写し、②振込先口座を確認できるキャッシュカードや通帳の写し(口座番号及び名義が確認できる通帳を開いた1ページ目と2ページ目)、③給与明細などの休業前および休業中の賃金額が確認できる書類の写しを添付してください(「休業前」「休業中」の賃金とはその期間に支払われた賃金を指します。例えば、4月の休業であれば、3月以前に支払われた賃金が「休業前」、4月中に支払われた賃金が「休業中」です。)。また、④シフト制、日々雇用または登録型派遣であることを疎明するとともに、そのことが確認できる書類(労働条件通知書、雇用契約書等)の写しを添付してください。2回目以降の申請時には初回申請時から振込先口座の変更がなければ③のみ(休業前の賃金は不要です。)で構いません。
なお、①本人確認書類にはマイナンバー通知カードを使用しないでください。
④の疎明については、「勤務形態についての疎明書」をホームページに掲載していますので御活用ください。労働条件通知書等の確認書類がなくても申請できますが、その場合には、書類がない旨及び、どのような勤務形態であるかについての説明をできるだけ具体的に書いてください。

7.郵送申請の内容に不備があった場合はどうなりますか。

→必須項目が空欄である場合や添付書類が不足している場合は申請者あて返戻させていただきます。その際にはどこに不備があるかをお示しいたしますので、補正の上、再送していただきますようお願いします。

8.2回目以降の申請における注意点はありますか。

→郵送申請の場合、支給決定または不支給決定通知書の下部に支援金等対象者番号及び氏名(カナ)が記載されています。郵送申請の2回目以降の申請時においては、この部分を切り取って申請書に貼っていただくようお願いします。

9.支給申請はいつまで受け付けてくれるのですか。

→申請期限は令和3年7月31日(土)です。
また、申請開始日は休業した期間の翌月初日からとなります。(例:3月の休業であれば4月1日から申請可能です。)

10.支給申請後、支援金・給付金が支払われるまでにどれくらいかかりますか。

→申請後、支援金集中処理センターにおいて審査を行い、書類が整っている場合には、概ね2週間程度で支給決定(支給完了)又は不支給決定を行います。郵送申請の場合は休業者の住所または代理申請した事業主の住所に支給決定または不支給決定通知書を送付いたします。支給決定通知から入金まで数日要することがありますのでご留意ください。
なお、申請受付開始直後については、申請が集中することが考えられるため、立ち上げ当初はお支払いまで2週間以上の期間を要することも考えられますが、可能な限り迅速な支給に努めてまいります。
また、申請書類に不備等がある場合には、申請内容の確認に時間を要します。さらに、支給要件確認書の作成に事業主の協力が得られず空欄となっている場合は、労働局から企業に対して調査を行うこととなりますので、申請から支給までに時間を要しますのでご承知おきください。

11.支援金・給付金はどのように受け取るのですか。

→本人名義の銀行口座への振込みとなります。海外の金融機関やインターネット専用銀行は原則振込みができません。振込可能な金融機関のリスト(別表)をご参照ください。

12.事業主から申請してもらってもいいのですか。

→事業主経由の申請も可能です。この場合でも、支援金・給付金は申請者本人の銀行口座への振り込みになります。

13.事業主と申請者個人の両方から申請することはできますか。

→どちらか一方のみ申請を行うことができます。

14.社会保険労務士が代理申請する場合に委任状が必要ですか。

社会保険労務士が提出代行する場合は不要です。

15.郵送申請の場合、郵便料金は自己負担なのでしょうか。

→郵送の費用は申請者のご負担になります。

16.申請書を提出した後、労働局から連絡や調査があるのでしょうか。

→提出した書類について、確認のご連絡をすることがあります。また、適正な支給を行う観点から、事業所への立入検査等の調査を行うことがありますので御協力をお願いします。

【⑧その他】

1.不支給となった場合に不服申し立ては出来ますか。

→支援金・給付金の支給・不支給の決定は行政処分ではないため、不服申し立てはできません。

2.配偶者が休業していたのですが、急遽亡くなりました。亡くなる前の休業期間について代わりに申請することは可能でしょうか。

→支給申請時点でご存命の方が対象となります。

3.令和2年4月1日以降に引っ越しして住所が変わりました。申請項目にある現住所には、どの時点の住所を記載すればよいですか。

→申請日時点の住所を記載いただくようお願いします。

【⑨複数事業所分の申請】

1.複数の事業所で働いています。その複数事業所が休業している場合、それぞれの事業所の分で支給を受けられるのでしょうか。

→複数事業所の休業について申請可能です。ただし、原則として申請時に複数事業所分の情報をまとめて申請する必要があります。別々に申請することはできません(あとから申請した分は無効となります)。
(例えば、A事業所とB事業所の2か所で働いている方で、両事業所の分を申請する場合は、A事業所分とB事業所分を必ずまとめて申請してください。A事業所分のみ申請した場合、あとからB事業所分を申請しても無効となりますのでご注意ください。)
ただし、令和2年4月から6月の期間について、中小事業主に雇用される労働者としての休業の分とは給付率が異なることから、当該期間において中小事業主とそれ以外の事業主に雇用される場合については、別々に申請することとなります。
(例えば、A事業所(大企業)、B事業所(大企業)、C事業所(中小企業)の3か所で働いている方で、令和2年4月から6月の期間について3事業所の分を申請する場合は、A事業所とB事業所はまとめて申請し、C事業所分は別で申請することとなります。)
支給申請書は複数事業所申請用として、通常の申請書とは異なります。また、郵送での手続きのみとなりますのでご注意下さい。
〒600-8799
日本郵便株式会社京都中央郵便局留置
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

2.申請できる事業所数に上限はありますか。

→上限はありません。

3.支給申請書Aに記載する事業所はどの事業所の分を記載すればいいですか。

→最も休業前賃金額の高い事業所(賃金を一番多くもらっていた事業所)を記載してください。ただし、中小事業主以外の事業主に雇用される労働者としての休業を申請する場合は、中小事業主以外の事業主の事業所のうち最も休業前賃金額の高い事業所を記載してください。それ以外の事業所については、支給申請書Bに記載してください。

4.一部の事業所が支給要件を満たさない場合、申請全体が不支給となるのでしょうか。

→支給要件を満たすかどうかは、事業所ごとに判断します。そのため、一部の事業所のみが要件に該当しない場合は、申請全体を不支給とはせず、当該一部の事業所以外の事業所について支給することとなります。

5.休業手当や月額3万円を超える見舞金が支払われている場合は支給の対象とならないですが、複数事業所分を申請する場合はどのようになりますか。また、一部の事業所において、後から休業手当が支払われた場合はどのようになりますか。

→休業手当や見舞金が支払われる場合の取扱いについても、上記4の場合と同様に、個別の事業所ごとに判断することとなります。また、支援金・給付金が受給した後に休業手当が支払われた場合についても、当該休業手当が支払われた事業所に係る額のみ返還することとなります。

6.事業所ごとに休業している期間が異なります。どのように支給申請書に記載すればいいですか。また、休業期間が重複していない月はどうなりますか。

→最も休業開始日が早い事業所の休業開始日から、最も休業終了日が遅い事業所の休業終了日までを休業期間とします(例1)。
複数事業所の休業が全く重複していない月(支給単位期間)がある場合、その月(支給単位期間)は単体事業所として別の申請となりますのでご注意ください(例2)。
ただし、休業の期間が全く重複していなくても、休業している月(支給単位期間)が重複している場合は複数事業所分として申請することになります(例3)。

(例1)
A 事業所:休業期間4月8日~5月16 日
B 事業所:休業期間4月16 日~5月25 日
f:id:sr-memorandum:20210407212319p:plain

(複数就労用の支給申請書A の項目8の記載)
f:id:sr-memorandum:20210407212428p:plain

(例2)
A 事業所:休業期間4月8日~5月16 日
B 事業所:休業期間4月16 日~6月25 日
f:id:sr-memorandum:20210407212535p:plain

※複数事業所分としては4月、5月が対象となります。6月はB 事業所だけ休業しています
ので、B 事業所分のみで別途申請してください。

(複数就労用の支給申請書A の項目8の記載)*4月、5月分の申請(A、B 事業所分)
f:id:sr-memorandum:20210407212718p:plain
(支給申請書(労働者申請用初回)の項目8の記載)*6月分の申請(B 事業所分)
f:id:sr-memorandum:20210407212821p:plain

(例3)
A 事業所:休業期間4月8日~5月10 日
B 事業所:休業期間5月16 日~6月25 日
f:id:sr-memorandum:20210407212956p:plain
※A 事業所のみで4月、A,B 複数事業所分で5月、B 事業所のみで6月の申請をそれぞれ別途行ってください。

(支給申請書(労働者申請用初回)の項目8の記載)*4月分の申請(A 事業所分)
f:id:sr-memorandum:20210407213132p:plain

(複数就労用の支給申請書A の項目8の記載)*5月分の申請(A,B 事業所分)
f:id:sr-memorandum:20210407213224p:plain

(支給申請書(労働者申請用初回)の項目8の記載)*6月分の申請(B 事業所分)
f:id:sr-memorandum:20210407213314p:plain

7.複数事業所分を申請する場合の休業前賃金額日額の算定はどのように行うのですか。

→休業開始前の過去6か月のうち任意の3か月分の賃金を 90で除して算定するという原則は単体事業所の申請の場合と同様です。ただし、複数事業所分の申請の場合は、申請する全ての事業所について、同じ月の賃金で算定することとなります(例1)。
複数事業所としての休業が引き続かず、単体事業所としての別途申請となる場合は、それぞれ休業前賃金日額を別途算定することとなります(例2、3)。

(例1:6の例1の場合)
f:id:sr-memorandum:20210407213503p:plain

● A事業所は 12月、 11月、 10月が、 B事業所は3月、2月、 12月が金額の高い3か月となりますが、申請する全ての事業所について、同じ月の賃金で算定する必要がありますので、同じ3か月( 3月、 12月、 11月)を選択し、その月の賃金の合計額を 90で除して算定することとなります。事業所が C事業所、 D事業所・・・と増えた場合も同様です。
(3月 12月+ 11月)

●(15万+ 18万+ 15万)÷ 90日= 5,333円・・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。


(例2:6の例2の場合)
●4月および5月の休業前賃金日額は上記例1と同様に算定します。
f:id:sr-memorandum:20210407213641p:plain

●6月開始の休業の場合、休業開始前の過去 6か月( 12月~5月)から任意の 3か月を選択します。
(4月+ 2月+ 12月)
→(8万 +6万+7万)÷ 90日= 2,333円・・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。


(例3:6の例3の場合)
f:id:sr-memorandum:20210407213818p:plain

●4月の休業の場合、休業開始前の過去6か月(10月~3月)から任意の3か月を選択します。

*4月分はA事業所単体の休業としての申請となります。
(12月+ 11月+ 10月)
(11万+ 13万+ 14万)÷ 90日= 4,222円・・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。

●5月の休業の場合、休業開始前の過去6か月(11月~4月)からA,B事業所同じ3か月を選択します。

*5月分は A,B事業所複数として の 申請となります。
(4月 +3月 12月)
16万+ 15万+ 18万)÷ 90日= 5,444円・・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。

●6月の休業の場合、休業開始前の過去 6か月(12月~5月)から任意の3か月を選択します。
*6月分はB事業所単体の休業として の 申請となります。
(4月+ 2月+ 12月)
→(8万 6万+7万)÷ 90日= 2,333円・・・休業前賃金日額
※端数処理は小数点以下切り捨てとなります。

8.支給申請書の就労等した日数は何を参考に記載すればいいですか。

→支給申請書AおよびBの2枚目や厚生労働省 HPに掲載している申請書の記載案内をご確認ください。

9.既に中小事業主に雇用される分で支給を受けています。改めて既に 支給を受けた月の分

を中小事業主以外の事業主に雇用される分とまとめて複数事業所分の申請にすることは可
能ですか。
→上記1のとおり、令和2年4月から6月分の休業については、中小事業主以外の事業主に雇用される分として単独で申請してください。
それ以外の期間については、改めて複数事業所分として申請することが可能です。

雇用調整助成金における「重点区域」が公表されました

雇用調整助成金における「重点区域」が公表されました

厚生労働省ホームページより抜粋)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/manenbousi_00001.html

雇用調整助成金においては、まん延防止等重点措置の対象区域のうち職業安定局長が定める区域(以下「重点区域」という。)の都道府県知事の要請等を受けて、営業時間の短縮等に協力する大企業事業主に対して、助成率を最大10/10とする特例を設けております。
本年4月1日に発表された宮城県大阪府及び兵庫県に対するまん延防止重点措置の適用を受け、宮城県仙台市大阪府大阪市兵庫県神戸市、尼崎市、西宮市及び芦屋市を重点区域として定めることといたしましたのでお知らせいたします。
本特例の対象となる地域や期間等の詳細については、下記FAQ等をご参照下さい。

f:id:sr-memorandum:20210406225135p:plain

(参考Q&A)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/manenbousi_00001.html

09-01 緊急事態宣言等対応特例の内容を教えてください
以下の①~③の事業主について、助成率を最大10/10(※)といたします。詳細については、以下の(09-2)緊急事態宣言等対応特例(地域)、(09-3)緊急事態宣言等対応特例(業況)をご覧ください。
(※)解雇等を行っていない場合の助成率です。解雇等を行っている場合は4/5になります。

【地域特例】
①緊急事態宣言対象地域の知事の要請を受けて営業時間の変更等に協力する飲食店等の大企業事業主
②まん延防止等重点措置対象区域のうち職業安定局長が定める区域が属する都道府県の知事の要請を受けて営業時間の変更等に協力する飲食店等の大企業事業主
【業況特例】
③特に業況が厳しい大企業事業主

09-03 特例用の様式や添付書類について教えてください
まん延防止等重点措置に係る地域特例の申請様式については、今月の中旬以降に上記リンクに掲載いたします。支給申請をお急ぎの大企業事業主の方は、まずは通常のコロナ特例の様式(※)を使って、管轄の労働局に支給申請を行って下さい。申請いただいた内容にて一度支給決定をさせていただきますので、その後で所定の様式を使ってまん延防止等重点措置に係る地域特例の再申請を行ってください。
(※)通常のコロナ特例の様式では助成率は2/3(解雇等を行っていない場合は3/4)となります。


09-08 緊急事態宣言等対応特例(地域)の対象となるのはどのような企業でしょうか

特措法第31条の4第1項に基づくまん延防止等重点措置の公示に伴い、
①まん延防止等重点措置の対象区域のうち職業安定局長が別途定める区域(以下「重点区域」という。)が属する都道府県の知事による基本的対処方針に沿った要請等を受けて、
②まん延防止等重点措置を実施すべき期間を通じて、
③特措法施行令第11条に定める施設の内、重点区域内に所在し、要請等の対象となる全ての施設において、
④要請等の内容を満たす営業時間の変更、当該施設の収容率若しくは当該施設を利用できる人数の制限又は飲食物の提供を控えることに協力する
⑤要請等の対象となる業態に属する事業を行う
大企業事業主が対象となります。

※ 特措法施行令第11条に定める施設
(三から十四に掲げる施設にあっては、その建設物の床面積の合計が1000平方メートルを超えるものに限る。)
一 学校(三に掲げるものを除く。)
二 保育所、介護老人保健施設その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定す
る高等課程を除く。)、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他これらに類する教育施設
四 劇場、観覧場、映画館又は演芸場
五 集会場又は公会堂
六 展示場
七 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。)
八 ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)
九 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場
十 博物館、美術館又は図書館
十一 キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設
十二 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
十三 自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援業を営む施設
十四 飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設(十一に該当するものを除く。)
十五 三から十四までに掲げる施設で会って、その建築物の床面積の合計が1000平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏まえ、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特措法第45条第2項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの


09-10 特定都道府県や重点区域の知事が、特措法施行令第11条に定める施設以外の施設に行った要請等に応じた場合は特例の対象となりますか

対象になりません。特定都道府県や重点区域の知事による要請等が特措法施行令第11条に定める施設に行われている必要があります。また、まん延防止等重点措置については、重点区域内の施設である必要があります。


09-25 まん延防止等重点措置に関する要請等の内容(期間や区域等)を知りたいのですが

以下のリンク先にまん延防止等重点措置に関する特例の対象となる区域等の情報をまとめておりますので参照下さい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/cochomoney_00002.html


09-26 まん延防止等重点措置に係る特例の対象となる期間について教えてください

まん延防止等重点措置を実施すべき期間に加え、当該期間の末日の翌日から当該期間の末日の属する月の翌月の末日までの期間が特例措置の対象となります。具体的には以下のとおりです(令和3年4月5日時点。本特例措置は4月末まで実施することとなっていますが、今後、関係省令の改正により令和3年5月1日から令和3年6月30日までの期間においても、引き続き特例措置を実施する予定です。)
判定基礎期間が下記の期間を1日でも含む場合、その判定基礎期間の全ての休業等(特例の対象となる労働者の休業等)に特例が適用されます。

宮城県
仙台市: 令和3年4月5日~5月5日(まん延防止等重点措置を実施すべき期間)+5月6日~6月30日
大阪府
大阪市: 令和3年4月5日~5月5日(まん延防止等重点措置を実施すべき期間)+5月6日~6月30日
兵庫県
●神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市: 令和3年4月5日~5月5日(まん延防止等重点措置を実施すべき期間)+5月6日~6月30日